スペイン・アンダルシア地方発祥の白ブドウ品種「パロミノ」。
アルコール度数の高い酒精強化ワイン「シェリー」の原料となるブドウです。
日本では「シェリー酒」と呼ばれることも多く独自のカテゴリーと認識されがちですが、実は立派なワインの一種なんですよ!
今回は、「白ワインのブドウ品種『パロミノ』の特徴は?シェリー生産量の90%以上に使われる理由なども」をご紹介。
パロミノがシェリー生産量の90%以上に使われる理由なども併せて解説しています。
皆さんが、パロミノの魅力を知る第一歩になれば嬉しいです。
Contents
- 1 酒精強化ワイン「シェリー」とスペインの都市「へレス」の関係性
- 2 パロミノの特徴
- 2.1 パロミノがシェリー生産量の90%以上に使われる理由は「ニュートラルな風味」にあり!
- 2.2 【パロミノ種のバリエーション】高品質な正統派「パロミノ・フィノ」と伝統的な稀少派「パロミノ・デ・ヘレス」
- 2.3 パロミノの栽培には「暑く乾燥した地中海性気候」と「石灰質土壌(アルバリサ土壌)」が適している
- 2.4 シェリーに使える白ブドウ3品種「パロミノ」「ペドロ・ヒメネス」「モスカテル」はタイプや醸造方法が違う
- 2.5 スペインのサンルカール・デ・バラメダ産の特別な辛口シェリー「マンサニーリャ」には塩味がある?!
- 2.6 パロミノの酸化熟成シェリーは琥珀色や褐色で、「炒ったナッツ」「カラメル」などの香ばしく濃厚な香り
- 3 まとめ
酒精強化ワイン「シェリー」とスペインの都市「へレス」の関係性
皆さんは、酒精強化ワイン「シェリー」をご存知でしょうか?
酒精強化ワイン「シェリー」とスペインの都市「へレス」は、切っても切り離せない関係性です。
酒精強化ワインとは、醸造中にブランデーなどの強いアルコール(酒精)を加えることでアルコール度数を高めたワインのこと。
通常のワインはアルコール度数が10度~14度程度なのに対して、酒精強化ワインは15度~22度程度です。
シェリーは世界4大酒精強化ワインの1つで、スペイン南部・アンダルシア州ヘレス周辺で造られる酒精強化ワインを指します。
シェリーという名前は、アンダルシア州ヘレス周辺産の酒精強化ワインでしか使えない原産地呼称。
ヘレスの土地の土壌・気候・伝統技術でのみ生まれる唯一無二のワインなのです!
よって、スペインの都市へレスは「シェリー酒の聖地」と呼ばれているのですよ。
そんなへレスは、白ブドウ品種「パロミノ」発祥の地であり、世界最大の産地。
パロミノはシェリー造りに最も適した白ブドウ品種として、シェリー生産量の90%以上に使われています。
パロミノの特徴
シェリーの最重要品種であるパロミノ。
ここからは、パロミノの特徴を徹底解説していきます!
パロミノがシェリー生産量の90%以上に使われる理由は「ニュートラルな風味」にあり!
上記の通り、パロミノはシェリー生産量の90%以上に使われている最重要白ブドウ品種。
パロミノがシェリーの原料として使われる最大の理由は、パロミノの「ニュートラルな風味」がシェリーの醸造に適しているからです。
パロミノは、まるで白いキャンバスのようなブドウ。
非常にさっぱりとした味わいで、糖度や酸味が低く、「グリーンアップル」「レモン」「洋ナシ」「白い花」のような香りがわずかにします。
通常の白ワイン(スティルワイン)では個性の無い味わいになってしまいますが、シェリーを造る上では最大の強みに変わります!
ブドウ自体に特徴がないため、シェリー最大の特徴となるフロール(産膜酵母)の独特な香りを邪魔せずに引き立たせることができるのです。
さらに、シェリーの造られるスペイン・アンダルシア地方へレス周辺の栽培環境とも相性抜群。
毎年豊作なので、安定してシェリーを造ることができます。
パロミノは、シェリーの醸造に必要不可欠な存在なのです!!
【パロミノ種のバリエーション】高品質な正統派「パロミノ・フィノ」と伝統的な稀少派「パロミノ・デ・ヘレス」
パロミノは、大きくパロミノ種の括りの中でさらに2種類に分類することができます。
それが、高品質な正統派のパロミノ・フィノと、伝統的な希少派のパロミノ・デ・ヘレス。
パロミノ・フィノは、シェリー生産の90%以上に使われている主力品種。
高品質でありながら、環境適応力が高くて大きな房と粒をつけるため大量生産に向いています。
シャープな酸味と若々しくて繊細な味わいです。
パロミノ・デ・ヘレスは、パロミノ・フィノの祖先または親戚関係にあたる非常に稀少なクラシック品種。
果実味があり、コクや骨格(ボディ)がしっかりとしています。
個性の違うパロミノ・フィノとパロミノ・デ・ヘレスは、主に使われるシェリーのタイプが違います。
パロミノ・フィノは辛口で爽快なシェリーの一種「フィノ」の原料として。
パロミノ・デ・ヘレスは芳醇な香りとコクあるシェリーの一種「オロロソ」「アモンティリャード」などにも使われます。
すっきり辛口のシェリーが飲みたい方にはパロミノ・フィノが、深みのある辛口シェリーが飲みたい方にはパロミノ・デ・ヘレスがおすすめですよ!
パロミノの栽培には「暑く乾燥した地中海性気候」と「石灰質土壌(アルバリサ土壌)」が適している
パロミノの栽培に適しているのは「暑く乾燥した地中海性気候」と「水はけの良い石灰質土壌」の条件が揃っている地域。
スペインのガリシア州、南アフリカ、チリなどでも栽培されているパロミノですが、特筆すべき産地は「スペイン・アンダルシア地方」でしょう!
パロミノは耐乾性・耐暑性が高いため暑く乾燥した地中海性気候でも栽培ができて、乾燥しているので湿気による病気や害虫を防ぐことができます。
また、石灰質土壌(アルバリサ土壌)は水分保持能力が高いため冬の雨水を保持しつつ、乾燥した夏にはその水分でブドウの乾燥を防ぐことが可能。
土壌自体に養分が少ないので、樹に適度なストレスを与えて糖度と酸度のバランスが絶妙な濃縮味のあるブドウに育ちます。
スペイン・アンダルシア地方産の高品質なパロミノワイン、ぜひ飲んでみてください!
シェリーに使える白ブドウ3品種「パロミノ」「ペドロ・ヒメネス」「モスカテル」はタイプや醸造方法が違う
シェリーに使える白ブドウ品種は、「パロミノ」「ペドロ・ヒメネス」「モスカテル」の3種類のみ。
この3品種には、タイプや醸造方法に違いがあります。
まずは、タイプの違い。
パロミノは酸味が少なく塩気があるので、シャープな印象の辛口(ドライ)シェリーに使われます。
対して、ペドロ・ヒメネスとモスカテルは甘口シェリーに使われる品種。
ペドロ・ヒメネスは「レーズン」や「ドライイチジク」のような濃厚な甘みを感じる極甘口シェリー。
モスカテルはマスカット種に由来する爽やかな香りによって、甘さと酸味のバランスが取れた甘口シェリーになります。
次に、醸造方法の違い。
パロミノは糖分を除去した辛口ワインを酒精強化し、フロール熟成(ワインと空気が触れないようにする熟成)か酸化熟成(ワインと空気が触れる熟成方法)によってシェリーを造ります。
ペドロ・ヒメネスとモスカテルは共に、収穫したブドウを天日干することで糖度を濃縮してから甘口ワインを造り、酒精強化することでシェリーを造ります。
ペドロ・ヒメネスとモスカテルは基本の醸造過程は同じですが、ブドウの皮の厚さや天日干しの期間によって甘口度合いが変わるのです!
「パロミノ」「ペドロ・ヒメネス」「モスカテル」は、出来上がったシェリーの味わいが全然違います。
すっきり辛口のシェリーが飲みたい方はパロミノ。
甘党でデザート感の強いシェリーが飲みたい方はペドロ・ヒメネス。
華やかで比較的軽めな甘口シェリーが飲みたい方にはモスカテルがおすすめです。
さらに、食事とのペアリングで選ぶのも面白いです!
食前酒として飲むならパロミノ。
「チョコレート」や「ブルーチーズ」など濃厚な食材にはペドロ・ヒメネス。
「ドライフルーツ」や「フルーツタルト」などフルーツ系にはモスカテルがおすすめですよ。
ぜひ、飲み比べを楽しんでください!
スペインのサンルカール・デ・バラメダ産の特別な辛口シェリー「マンサニーリャ」には塩味がある?!
パロミノから造られる王道シェリーは、淡い色で軽快な口当たりの「フィノ」。
しかし、フィノの中でも特別に「マンサニーリャ」という名がつけられたサンルカール・デ・バラメダ産のシェリーがあるのです!
特殊な環境と熟成方法によって、一般的なフィノとは違った「塩味」や「ミネラル感」が楽しめます。
サンマリーニャは、スペインのサンルカール・デ・バラメダ地区でのみ生産されるシェリー。
サンルカール・デ・バラメダ地区は海沿いの街なので、湿度の高い環境でフロール(産膜酵母)が長期間活発に活動します。
フロールの活動によってワインのグリセロール(甘みやコクを感じさせる成分)が消費されるため非常に辛口になり、微量に存在する「塩」の風味が際立つ味わいになるのです!
さらに、一般的なフィノよりもさらに軽やかな口当たりに仕上がります。
フィノもマンサニーリャも、フロール(産膜酵母)熟成に由来する「アーモンド」「ハーブ」「パン」のような独特の香りと爽快な口当たりは同じ。
すっきり辛口なシェリーの中でも、「魚介のフリット」や「塩焼き鳥」といったシーフード料理や塩味の効いた料理と合わせたい方にはマンサニーリャがおすすめです!
ミネラル豊富な「海のワイン」を、試してみてくださいね♪
パロミノの酸化熟成シェリーは琥珀色や褐色で、「炒ったナッツ」「カラメル」などの香ばしく濃厚な香り
辛口シェリーの醸造方法には、「フロール熟成」と「酸化熟成」があります。
酸化熟成シェリーとは、酒精強化後に産膜酵母(=フロール)の発生を抑えてワインと空気を触れさせながら熟成したシェリーのこと。
「アモンティリャード」「オロロソ」「パロ・コルタド」 といったタイプが代表格です。
酸素に触れながら熟成することで、「琥珀色」や「褐色」といった濃い色味に。
「炒ったナッツ」「カラメル」「ドライフルーツ」などの香ばしく濃厚な香りになります。
酒精強化ワインならではの高いアルコール度数によってコク深く、長い余韻のあるシェリーになりますよ。
ナッツの風味や濃いコクが、「赤身肉の煮込み」「ジビエ料理」「熟成したチーズ」といった食事との相性抜群です!
まとめ
今回は、「白ワインのブドウ品種『パロミノ』の特徴は?シェリー生産量の90%以上に使われる理由なども」をご紹介しました。
いかがでしたか?
今回の内容をまとめると、
- 醸造中にブランデーなどを加えてアルコール度数を高めた酒精強化ワイン「シェリー」は、スペイン南部・アンダルシア州ヘレス周辺でのみ造られる
- パロミノはシェリー生産量の90%以上に使われている最重要白ブドウ品種で、パロミノの個性の無いニュートラルな風味がシェリーの醸造に最適である
- 高品質な正統派「パロミノ・フィノ」はすっきり辛口、伝統的な稀少派「パロミノ・デ・ヘレス」は深みのある辛口
- パロミノの栽培には「暑く乾燥した地中海性気候」と「水はけの良い石灰質土壌」が適しており、スペイン・アンダルシア地方が最適な地域
- シェリーに使える白ブドウ「パロミノ」はシャープな辛口シェリー、「ペドロ・ヒメネス」は収穫したブドウを天日干して糖度を凝縮した極甘口シェリー、「モスカテル」もブドウを天日干しした甘さと酸味のバランスが良い甘口シェリー
- 海沿いの街サンルカール・デ・バラメダ産のシェリー「マンサニーリャ」には、塩気やミネラル感がある
- パロミノの酸化熟成シェリーは琥珀色や褐色で、「炒ったナッツ」「カラメル」などの香ばしく濃厚な香りがする
このような感じでした。
シェリー造りに必要不可欠な存在であるパロミノ。
一概にシェリーと言っても、熟成方法やブドウ品種によって味わいが大きく変わるのが面白いですよね!
ぜひ皆さんも飲んでみてください。