東ヨーロッパに位置する国・ハンガリー発祥の白ブドウ品種「フルミント」。
フルミントから小麦色(金色)のワインが造られることから、フランス語の「froment=小麦」が名前の由来になっています。
ワイン愛好家やソムリエの間で高品質なブドウとして非常に高く評価されている、隠れた名品種。
世界三大貴腐ワインの1つ「トカイワイン」を生み出す品種としても有名なんです!
今回は、「白ワインのブドウ品種『フルミント』の特徴とは?記念日制定されることになった魅力も解説」をご紹介。
ワイン記念日が制定されるほどのフルミントの魅力についても深掘っていますよ。
皆さんが、フルミントの魅力を知る第一歩になれば嬉しいです!
Contents
「国際フルミントデー」が制定!
ワイン記念日が作られるほどの魅力はどこにある?
皆さんは、「国際フルミントデー」という日をご存知ですか?
2月1日の国際フルミントデーとは、フルミント品種の魅力を広め、国際的な認知度を高めるために制定されたワイン記念日。
トカイワイン(ハンガリーの甘口ワイン)の専門家であるダニエル・ケズディ氏によって、2017年に制定されました。
ハンガリーでは元々2月は「フルミント・フェブラリー(フルミントを飲む月)」とされており、そのイベントの一環として記念日が作られたという背景もあります!
記念日になるほどの影響力を持つフルミントの魅力といえば、ハンガリーの伝統的な主要白ブドウ品種であることと、白ワイン用ブドウとしての優れた特性。
ハンガリーの誇る世界三大貴腐ワインの1つ「トカイワイン」の主原料になっていることはもちろん。
甘口〜辛口にまでなれる多彩な表現力や、様々なワインスタイルになれる万能性を持ち合わせています。
伝統的なハンガリーの主要白ブドウ品種として、ハンガリーワインのイメージ向上に大きく貢献しているのですよ!
フルミントは、ハンガリーの「宝」といえる白ブドウですね。
フルミントの特徴
ハンガリーの主要白ブドウ品種である、フルミント。
ここからは、そんなフルミントの特徴を徹底的に解説していきます!
フルミントはハンガリーの最も有名な土着品種で、世界三大貴腐ワインの1つ「トカイワイン」を生み出す
フルミントの発祥は、ハンガリー北東部のトカイ地方。
ハンガリーの最も有名な土着品種(特定の土地に昔から根付いている品種)として、世界生産量の80%〜90%がハンガリーで栽培されています。
フルミントは、世界三大貴腐ワインの1つ「トカイワイン」に使用される品種。
フルミントの貴腐菌が付きやすい性質を利用して、トカイワインの中でも最も有名な「トカイ・アスー」の主原料になっています。
フルミント70%前後で他品種とブレンドされることもあれば、フルミント100%ので造られる場合もありますよ!
トカイ・アスーは蜂蜜のように黄金色をしたワイン。
味わいにも蜂蜜のような濃厚な甘さがありながら、驚くほど高い酸味とミネラル感が絶妙に調和した至極の甘口ワインです。
その高貴さから、17世紀にフランスのルイ14世が「王のワインであり、ワインの王」と称しています。
まさに、ハンガリーを代表する名産品ですね。
フルミントは成熟に時間がかかる晩生品種
フルミントは成熟に時間がかかり、収穫期が遅い「晩生品種」。
通常のワイン用ブドウは9月~10月にかけて収穫されることが多いですが、フルミントは10月~11月にかけて収穫を行います。
フルミントは果皮が薄くて貴腐菌(ボトリティス菌)が繁殖しやすいため「貴腐ワイン」に使われることが非常に多い品種。
その場合には、成熟した後にさらに貴腐菌が繁殖することで干しぶどう状(貴腐化)になるのを待つ必要があります。
収穫時期はさらに遅くなり12月〜1月までブドウを樹上に残すこともありますが、それでも高い糖度と高い酸度を保持し続けることができるのが強み!
糖度と酸度のバランスが良いため、収穫時期が遅れても引き締まった味わいの甘口ワインを造ることができるのです。
まさに、貴腐ワインを造るのに適したブドウ品種です!
栽培地で異なるフルミントの味わい・タイプ・呼び方
フルミントはハンガリー全土で栽培されていますが、特にハンガリー・トカイ地方で世界栽培量の60%以上が栽培されています。
その他にオーストリア、スロベニア、スロバキア、クロアチアなどでも栽培が盛ん。
フルミントは栽培地のテロワール(風土)の個性を表現する力が高く、栽培地によって味わい・ワインのタイプ・呼び方などが異なるのです!
最大産地となるハンガリー・トカイ地方のフルミントは、「青リンゴ」「洋梨」「ライム」などフルーティーな果実香。
非常に高い酸と強烈なミネラル感を感じる、力強く複雑な味わいが特徴的です。
オーストリアのフルミントは、「ライチ」「洋梨」「リンゴ」などのトロピカルな果実香。
フルミントらしい高い酸味はありつつ、爽快でジューシーな引き締まった味わいが特徴的です。
「モスラー」という呼び方で親しまれています。
スロベニアのフルミントは、「青リンゴ」「洋梨」「レモンの皮」などの爽やかな果実香にハーブのニュアンスが混ざった香り。
辛口ワインが主流で、非常に高い酸味にキリッとした爽快感ある味わいが特徴的です。
「シポン」という呼び方で親しまれています。
クロアチアのフルミントは、「青リンゴ」「洋梨」「ライム」などのフレッシュな果実香。
スロベニアと同じく辛口ワインが主流で、土壌由来のミネラル感も感じるキリッと清涼感のある味わいが特徴的です。
「モスラヴァッツ」という呼び方で親しまれています。
栽培地でこんなにも違いがあるの、面白いですよね!
ぜひ飲み比べてみてください。
酸度と糖度のバランスに優れた長期熟成向けの品種
フルミントは、非常に長期熟成に向いている白ブドウ品種として知られています。
フルミントには天然の高い酸度と高い糖度があり、それによって長期熟成してもダレた味わいにならないのです。
特に、高品質な貴腐ワインは長期熟成に非常に適しています!
長期熟成したフルミントワインは、若い時の淡い黄色から琥珀色や褐色(アンバー)に変化。
「青リンゴ」「洋梨」「ライム」などのフルーティーな果実香から、「ドライフルーツ」「蜂蜜」「へーゼルナッツ」のような甘く香ばしい香りになります。
フルミント特有の非常に高い酸味が、時間の経過によってコクのある滑らかな質感に変わっていきます。
キリッと爽やかな味わいのワインを楽しみたい、魚料理やスパイス料理と合わせたい場合には若いフルミントワインがおすすめ。
エレガントで濃厚なコクのあるワインを楽しみたい、食後酒としてゆっくりと味わいたい場合には長期熟成したフルミントワインがおすすめですよ。
甘口ワインは「リンゴ」「蜂蜜」などの甘美な香り、辛口ワインは「ライム」「洋梨」などのフレッシュな香り
フルミントといえばトカイ産の甘口ワインが最も有名ですが、実は辛口ワインとしても高い評価を受けているんです!
ここでは、フルミントから造られる甘口ワインと辛口ワインの風味を詳しくご紹介します。
フルミントの甘口ワインは、「熟したリンゴ」「アプリコット(杏)」「蜂蜜」「クルミ」の濃厚な香りに加えてスパイスのニュアンスも感じられます。
濃い果実味や蜂蜜のような甘さがあり非常に糖度が高いですが、鋭い酸が全体を引き締めてくれるので、上品でバランスの良い味わいに。
非常に濃厚でオイリーな質感のワインです。
フルミントの辛口ワインは、「ライム」「洋梨」「リンゴ」といった爽やかな果実香や「カモミール」のようなハーブ香も感じられます。
鋭い酸味とミネラル感がシャープな印象の味わいに。
水のようにさらさらしていて、柔らかな口当たりのワインです。
甘口ワインは食後酒・デザートワインに、辛口ワインは食前酒・食中酒にピッタリ!
フルミントは、それぞれの違った魅力を表現できる万能品種なのです。
白ブドウ「ハールシュレヴェリュー」や「サルガ・ムシュコタイ」などとブレンドされることもある
フルミントは、テロワール(風土)の個性を反映しやすい品種として、栽培された畑の名前が付いた単一ワインが造られることが多いです。
ただし、ハンガリーの伝統的なスタイルとしては他の品種とブレンドされることもしばしば。
特にパートナーになることが多いのは、ハンガリー原産の「ハールシュレヴェリュー」やギリシャ原産の「サルガ・ムシュコタイ」などです。
ハールシュレヴェリューとブレンドされる場合、辛口ワインでは力強い酸味とミネラル感、フレッシュなリンゴの香りが特徴的。
甘口ワインの場合、蜂蜜・アプリコット・トロピカルフルーツのような甘みと高い酸味がバランスよく調和しています。
フルミントの強い酸味としっかりした骨格(ボディ)、ハールシュレヴェリューの甘く華やかな香りとまろやかさが相性◎です。
サルガ・ムシュコタイとブレンドされる場合、辛口ワインでは華やかな香りの割に非常にドライな味わいで、ミネラル感とシャープな酸味が感じられます。
甘口ワインの場合、「蜂蜜」「干しアンズ」「オレンジピール」の濃厚な香りにスパイスのニュアンス、非常に濃厚な甘さですが高い酸味によってくどくない味わいです。
フルミントの高い酸味としっかりした骨格(ボディ)、サルガ・ムシュコタイの香水のように華やかな香りや瑞々しいフルーツ感が相性◎です。
他にも、ルーマニア原産の「タマイオアサ・ロマネアスカ」とブレンドして、花のような芳醇な香り×爽快な酸味が特徴的な透明感のあるワインが造られることもあります。
フルミント単体も高品質ですが、他の白ブドウ品種とのブレンド力にも優れているのです!
まとめ
今回は、「白ワインのブドウ品種『フルミント』の特徴とは?記念日制定されることになった魅力も解説」をご紹介しました。
いかがでしたか?
今回の内容をまとめると、
- フルミントが「国際フルミントデー」に制定される魅力は、ハンガリーの伝統的な主要白ブドウ品種であり、品種自体に優れた特性があるから
- フルミントは世界生産量の80%〜90%がハンガリーで栽培されている土着品種で、世界三大貴腐ワインの1つ「トカイワイン」の主原料
- フルミントは成熟に時間がかかる晩生品種で、収穫が遅くなっても高い糖度と高い酸度を保持できるので引き締まった味わいの甘口ワインが造れる
- フルミントはハンガリーの他に「オーストリア」「スロベニア」「スロバキア」「クロアチア」などでも栽培が盛んで、味わい・ワインのタイプ・呼び方などが違う
- フルミントは天然の高い酸度と高い糖度によって長期熟成に非常に向いている品種で、熟すと濃厚なコクのあるワインになるので食後酒におすすめ
- フルミントの甘口ワインは「リンゴ」「蜂蜜」などの甘美な香り、辛口ワインは「ライム」「洋梨」などのフレッシュな香り
- フルミントは他品種とのブレンド力も高い品種で、ブレンド相手によってワインの風味が大きく変わる
このような感じでしたね。
ハンガリーを代表するブドウ品種であるフルミント。
「国際フルミントデー」や「フルミント・フェブラリー(フルミントを飲む月)」が作られてしまうほどの影響力には驚きです!
ハンガリーが自信を持って世界に広めるフルミントのワイン。
ぜひ皆さんも飲んでみてくださいね。