白ワインのブドウ品種

白ワインのブドウ品種「甲州」の特徴とは?世界に注目される甲州ワインの受賞歴なども解説

 

日本・山梨県甲州市発祥の白ブドウ品種「甲州」。

日本の固有品種であり、世界のワインコンクールでも数々の賞を受賞している日本が世界に誇るブドウです。

 

今回は、「白ワインのブドウ品種『甲州』の特徴とは?世界に注目される甲州ワインの受賞歴なども解説」をご紹介。

世界に注目される甲州ワインの詳しい受賞歴なども併せて解説しています。

皆さんが甲州の魅力を知る第一歩になれば嬉しいです。

 

日本の白ブドウ品種トップ2は「甲州」と「ナイアガラ」

日本で最も栽培面積・生産量が多い白ブドウ品種のトップ2は、「甲州」と「ナイアガラ」。

白ワインに詳しくなくとも、1度はその名前を見聞きしたことがあるのではないでしょうか?

日本の白ブドウ栽培において甲州とナイアガラが選ばれる理由は、共通して「日本の気候への高い適応力」があるからです。

 

甲州は、日本固有の白ブドウ品種。

「山梨県甲府盆地東部」で全体の約9割が栽培され、「島根県」や「山形県」でも多く栽培されています。

果皮が厚いので湿気が高く雨の多い日本の夏でも病気になりずらく、毎年安定した収穫量を得られるのでブドウ農家から人気!

日本特有の「棚栽培(棚仕立て)」も樹勢の強い甲州に適しており、雨除けの対策と合わせることで高品質なブドウを栽培できます。

 

ナイアガラは、アメリカ・ニューヨーク州にあるナイアガラ原産のブドウ品種。

「北海道」「長野県」「山形県」で主に栽培されており、寒冷な気候に適した性質を持っています。

比較的病気に強い品種ですが、日本の高温多湿な時期には病気にかかるリスクが高いため、栽培地は冷涼で雨の少ない地域に限られています。

しかし、北海道や長野県での根強い人気により栽培面積が安定しているそうです。

 

栽培しやすい他に、品種自体の特性にも人気の共通点があります。

それは、甲州もナイアガラも生食・加工のどちらでも楽しめること、和食との相性抜群なワインであること。

日本の食卓を彩ってくれます。

 

そんな甲州とナイアガラの違いは、香りの系統。

甲州は「柑橘」「青リンゴ」といった果実香の中に「ジャスミン」「ユリ」のフローラルな香りが混ざった、控えめで上品な香り。

ナイアガラは「グレープジュース」をそのままワインにしたような強く芳醇な香りで、独特な甘い香りが「フォクシー・フレーバー(狐臭)」とも呼ばれています。

 

「刺身」や「酢の物」などさっぱりした食事には甲州ワイン、「フルーツ大福」や「スフレケーキ」などデザート系にはナイアガラワインを選ぶのがおすすめですよ!

 

甲州の特徴

では、本題となる甲州の特徴を4つのポイントで解説していきます。

 

1つ目は、カスピ海で生まれ中国経由で日本にやってきた日本の固有種であること。

甲州は1000年以上の歴史を持つ日本で初めての白ブドウ固有品種。

実は、甲州が生まれたのは日本ではないんです。

カスピ海で生まれたヨーロッパ系品種「ヴィニフィラ」が中国を経由して日本へ伝来する際に、中国の野生種「ヴィティス・ダヴィーデ」と異種交配したことで誕生したと言われています。

この来歴は、2013年に行われた酒類総合研究所・後藤奈美氏のDNA解析によって判明。

日本では甲州が発見された当時から変わらず山梨県甲府盆地東部を中心に栽培されています。

 

2つ目は、生食用としても利用されること。

甲州は、ワイン用ブドウとしてだけでなく生食用(生で食べられる)ブドウでもあります。

果汁たっぷりで、日本で人気のシャインマスカットに比べると甘さ控えめです。

さらに、白ブドウ品種でありながら「グリ(灰色)系」と言われる薄い藤紫色の果皮も特徴的。

果皮が比較的厚いので病気にかかりづらく栽培しやすい品種でもあります。

 

3つ目は、棚仕立てが主流の晩生型品種であること。

白ブドウは一般的に8月中旬〜9月下旬に収穫されるのに対して、甲州は9月中旬〜10月後半に収穫される晩生型品種。

さらに、樹勢(樹の生命力)が強いので枝葉が大きく広がります。

樹勢の強い甲州が広範囲に枝を広げて多くのブドウをつけられること、収穫が遅く雨の多い時期を通過する時に葉が屋根状にブドウを覆い隠せることなどから、甲州は「棚仕立て」での栽培が最適なのです。

 

4つ目は、フレッシュで軽やかな辛口白ワインが中心であること。

甲州ワインのスタイルで圧倒的人気なのは「辛口ワイン」。

「柚子」や「すだち」など日本ならではの和柑橘の香りと穏やかな酸味、後味に心地よい苦味があります。

ただし、他にも多彩なスタイルのワインになれるポテンシャルを持っています。

シュール・リー製法を施した旨味と厚みのあるワイン、樽熟成した香ばしさと複雑味のあるワイン、甲州のグリ色の果皮を活かしたオレンジワインなど。

甲州で造られるオレンジワインは、タレや醤油を使った和食と相性抜群ですよ!

 

実は海外生まれの甲州ですが、日本での栽培や日本食に適している THE・日本のための品種なのです。

 

1000年以上の歴史を誇る日本の固有品種「甲州」のルーツはヨーロッパ

甲州は、1000年以上の歴史を誇る日本固有のブドウ品種。

その長い歴史はどこから始まったのか?

先ほども触れましたが、2013年に酒類総合研究所の後藤奈美氏が行ったDNA解析によって、そのルーツがヨーロッパにあることが判明しました!

 

甲州の親は、ヨーロッパ系品種の「ヴィニフェラ」と中国の野生種「ヴィティス・ダヴィーディ」。

カスピ海周辺・コーカサス地方原産のヴィニフィラがシルクロードを渡り、中国の野生種であるヴィティス・ダヴィーディと異種交配しながら日本へ伝来しました。

 

日本で初めて栽培された場所は山梨県甲州市の勝沼で、その始まりには2つの説があります。

1つは、柏尾山大善寺にて修行していた行基が、ブドウを手にした薬師如来が現れる夢を見たことでブドウを発見して広めたという「行基説」。

もう1つは、雨宮勘解由(あめみやかげゆ)が山中で野生のブドウを見つけて自宅で栽培を始めたという「雨宮勘解由説」です。

 

当初は食用として栽培されていた甲州でしたが、明治時代にはワイン醸造も開始。

徐々に栽培面積と知名度を広げていき、2010年には国際ブドウ・ワイン機構(OIV)にて日本初の国際的ブドウ品種として登録されました!

 

日本の固有種である甲州は、ヨーロッパ品種と中国品種の血を引いて生まれたのですね。

 

甲州の特徴から分かる「栽培に適した産地」

甲州の栽培に適している産地には、「長い日照時間」「昼夜の寒暖差が大きい内陸性気候」「水はけのよい砂礫混じりの土壌」という3つの条件が揃っています。

中でも、特に高品質な甲州が育つ産地として有名なのが「山梨県」。

 

甲州は9月中旬〜10月後半が収穫時期の晩生型品種なので、年間降水量が比較的少なく日照時間が長い気候でブドウがしっかり成熟されます。

さらに、昼夜および夏と冬の気温差が大きい盆地気候で果実の成熟促進と上品な酸味の維持が両立でき、程よく乾燥した風が病気にかかるリスクを軽減。

土壌は砂礫(砂や小石)混じりの粘土層なので、水捌けの良さと保湿性のバランスによって凝縮された果実味のブドウが育つのです。

 

山梨県産の高品質な甲州ワインは、日本ワインの代表格として地位を確立していますよ!

 

甲州辛口ワインの代名詞「シュール・リー製法」

甲州の主流スタイルである辛口ワインの醸造方法として有名なのが「シュール・リー製法」。

発酵後のワインから澱(おり)を取り除かずそのまま熟成させることで、澱由来の旨味や厚みをワインに与える手法です。

甲州ワインの「淡白さ」という欠点をシュール・リー製法でコクを加えることによって補い、飲みごたえのあるワインに仕上げています!

 

シュール・リー製法を行ったワインは、和食との相性がさらにアップ!

甲州特有の「すだち」や「柚子」のような和柑橘の清涼感と澱由来のコクの最高のバランスによって、和食の繊細な味に寄り添う上品な辛口ワインに。

「刺身」「寿司」「天ぷら」「焼き魚の塩焼き」をはじめとした和食全般と相性抜群です。

毎日の食卓にぴったりの食中酒ですね♪

 

長期熟成の甲州は「蜜蝋」や「紹興酒」を思わせる複雑な熟成香

長期熟成といえば、赤ワインを想像する方が多いのではないでしょうか?

甲州ワインは、一般的にはフレッシュな酸味や和柑橘の繊細な香りを楽しむため早飲み(購入後1〜3年以内)がおすすめされます。

しかし、樽熟成のワイン、シュール・リー製法を施したワイン、オレンジワイン仕立てのワインなどに関しては10年〜20年以上の長期熟成が可能になるんです!

 

若い甲州は「すだち」や「柚子」の和柑橘の香りや白い花の香り、軽快な酸味が特徴。

熟した甲州は和柑橘の香りが薄れ、「蜜蝋」の蜂蜜のような甘い香りや「ナッツ」「ドライフルーツ」のような濃厚な「第3アロマ(熟成香)」に変化します。

さらに、もち米から作られるお酒「紹興酒(しょうこうしゅ)」を思わせる香ばしい香りまで!

爽やかでフルーティーな味わいから、出汁のような旨味のある余韻の残る味わいに変わります。

 

独特の熟成香と旨味が加わった甲州ワインは、味の濃い食事にも寄り添ってくれる存在。

醤油や味噌を使った「煮込み料理」や「熟成チーズ」などが、個人的にはおすすめです!

 

【DWWAでBest in Showを受賞】世界に注目される甲州ワイン

日本の固有品種「甲州」の凄さ、ご存知でしょうか?

2010年、日本のブドウとして初めてOIV(国際ブドウ・ワイン機構)の品種リストに登録されるという快挙を果たした甲州。

国際ブドウ品種として認められ、世界的なワインコンクールで最高賞やトロフィーを多数受するなど世界から注目されています!

 

受賞歴として最も有名なのが、2024年のデキャンター・ワールド・ワイン・アワード (DWWA) における最高位「Best in Show」の受賞。

DWWAは、イギリスのワイン雑誌が主催する世界最大の出品数を誇る国際ワインコンテスト。

57カ国18,000本を超えるワインの中で、トップ50に甲州ワイン「SUNTORY FROM FARM 登美 甲州 2022」が選ばれたのです!

 

さらに、同じくイギリス開催のインターナショナル・ワイン・チャレンジ (IWC) 2025でも「岩出甲州きいろ香 キュベ・ウエノ2023」が部門別最高賞を受賞するなど、受賞歴は多数。

 

2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」の世界的ブームに伴って、和食との圧倒的なペアリング力を持つ「甲州ワイン」の魅力も世界に見つかり始めています。

甲州は、日本にとって「国宝」ともいえる白ブドウ品種なのです。

 

まとめ

今回は、「白ワインのブドウ品種『甲州』の特徴とは?世界に注目される甲州ワインの受賞歴なども解説」をご紹介しました。

いかがでしたか?

 

今回の内容をまとめると、

  • 白ブドウ品種の日本での栽培面積・生産量トップ2は「甲州」と「ナイアガラ」で、日本の気候への高い適応力・生食でも楽しめる・和食との相性の良さが人気の理由
  • 甲州の特徴4つは、「カスピ海で生まれ中国経由でやってきた日本の固有種」「生食用としても利用される」「棚仕立てが主流の晩生型品種」「フレッシュで軽やかな辛口白ワインが中心」
  • 甲州のルーツはヨーロッパにあり、ヨーロッパ系品種の「ヴィニフェラ」が中国の野生種である「ヴィティス・ダヴィーディ」と異種交配することで甲州が生まれて日本へやってきた
  • 甲州の栽培に適している産地には「長い日照時間」「昼夜の寒暖差が大きい内陸性気候」「水はけのよい砂礫混じりの土壌」という条件があり、最適な産地は山梨県
  • 甲州辛口ワインの代名詞は「シュール・リー製法」で、淡白な甲州ワインに澱由来のコクがプラスされる
  • 甲州には長期熟成できるスタイルのワインもあり、熟すと「蜜蝋」や「紹興酒」を思わせる複雑な熟成香がする
  • 甲州は日本で初めて国際ブドウ品種として認められ、世界最大の国際ワインコンテスト「デキャンター・ワールド・ワイン・アワード (DWWA)2024」 で最高位の「Best in Show」を受賞した経歴がある

このような感じでした。

 

名実ともに日本を代表する白ブドウ品種である「甲州」。

甲州ワイン、日本人として一度は飲んでみたくなりました!

皆さんもぜひ試してみてくださいね。

 

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