フランス・ブルゴーニュ地方発祥の白ブドウ品種、ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)。
「ミュスカデ」はワイン名としても品種名として使われる呼び方で、正式なブドウの品種名は「ムロン・ド・ブルゴーニュ」です。
「和食」に合うワインとして日本でも人気が高く、手に取りやすい価格で高品質のワインが楽しめます!
今回は、「白ワインのブドウ品種『ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)』の特徴は?和食との相性も」をご紹介。
ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)品種ならではの、フランスの伝統的な醸造技術「シュール・リー」についても解説していますよ。
皆さんがミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)の魅力を知る第一歩になれば嬉しいです。
Contents
「ミュスカデル」「ミュスカ」は同じ品種ではない
ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)と間違えやすい品種といえば、名前がよく似ている「ミュスカデル」と「ミュスカ」。
しかし実際は、それぞれ全く別の品種です!
例えば、主な「産地」の違い。
ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)は、約90%がフランス・ロワール地方産。
ミュスカデルは、約80%がフランス・ボルドー地産。
ミュスカ(別名:マスカット)は世界中で生産されていますが、主な産地はフランス・アルザス地方とローヌ地方、イタリア・ピエモンテ地方です。
さらに、ワインにおいて重要な「香り」や「味わい」の違い。
ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)は香りが控えめな品種で、「青リンゴ」や「レモン」のような爽やかな香りとさっぱりした味わい。
ミュスカデルは香りの強い品種で、「ジャスミン」や「蜂蜜」のような甘い香りとまろやかな味わい。
ミュスカ(別名:マスカット)は香りがとても強い品種で、「マスカット」をそのまま頬張っているようなフレッシュな香りと味わいです。
産地・香り・味わいの特徴だけでも、全然違いますよね!
ぜひ飲み比べて、「ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)」ならではの魅力を探してみてください。
ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)が「ロワール地方」での栽培が90%な理由
ワイン名 兼 品種名としても使われる名前「ミュスカデ」には、実は「ムロン・ド・ブルゴーニュ」という正式な品種名があります。
ムロン・ド・ブルゴーニュとは、「ブルゴーニュ地方のメロンの香りがするブドウ」という意味。
名前の通りミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)の原産地はフランス・ブルゴーニュ地方ですが、今では全体の90%をフランス・ロワール地方で栽培しています。
なぜ、原産地のブルゴーニュ地方よりもロワール地方で栽培されているのでしょう?
それは、1709年にフランス全土を襲った「大寒波」をきっかけに各地域で栽培されるブドウ品種が変わったから。
1709年にフランスは大寒波に襲われ、フランス中西部のロワール地方ではブドウがほぼ絶滅。
ロワール地区でもっと寒さに強いブドウ品種を育てていくために、ブルゴーニュ地方原産の品種「ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)」に目をつけます。
ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)はロワール地方の土壌に見事に根付き、どんどん栽培が盛んに。
一方ブルゴーニュ地方では、大寒波を機に「シャルドネ」など別品種を栽培するようになり、今ではほとんどミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)が栽培されなくなりました。
こうして、ブルゴーニュ地方よりもロワール地方でも栽培が盛んになっていったのです。
「ムロン・ド・ブルゴーニュ」という名前と、実際の栽培地のギャップもまた面白いですよね!
ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)の特徴
では、本題である「ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)の特徴」を3つのポイントで解説していきます!
1つ目は、すっきりしたスタイルの極辛口ワインが人気。
ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)品種の「爽快な酸味」「柑橘系や青リンゴの香り」「海風の影響を受けたミネラル感・塩味」の特徴を活かすために、辛口(ドライ)ワインとして造られることが一般的。
「海のワイン」とも呼ばれ、酸味や塩味から生まれる涼し気で軽快な味わいが人気です!
辛口ワインながら、アルコール度数も約12%と低め。
さっぱりした味わいは、「魚介料理」や「和食」など食事とも合わせやすいです。
2つ目は、「シュール・リー製法」という伝統的な造り方。
ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)では、ワイン発酵後に澱(おり)を取らずに一緒に熟成させる「シュール・リー製法」で醸造されるのが一般。
ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)はブドウ本来の個性が弱い品種なので、澱由来の「旨味」「コク」「複雑味」を加えてワインに深みを出すためです。
雑菌などが繁殖しやすく「温度管理」が重要なので、「ひと手間かけた醸造方法」といえます!
3つ目は、コスパの良い品種であること。
ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)はフランス・ロワール地方でほとんど栽培されており、栽培面積が広くて収穫量が安定しています。
さらに、安価なワインでも「シュール・リー製法」で造られるので、旨味やコクのあるワインに。
1000円〜2,000円の価格でもクオリティの高いワインが楽しめる品種です!
3つの特徴、いかがでしたか?
ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)の長所を活かしたワインスタイル、短所を補える醸造方法が確立されている品種なんですね。
ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)の特徴からわかる「栽培に適した産地」
ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)の栽培に適した産地は、「冷涼な海洋性気候」と「水捌けの良い土壌」の地域。
この条件が揃うことで、ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)特有の「爽快な酸」と「ミネラル感」を最大限に引き出すことができます!
栽培量の90%を占めるフランス・ロワール地方の中でも最適な場所は、海に近いエリア「ペイ・ナンテ地区」。
高緯度(北緯47度)ならではの冷涼な気候が、「酸味」を保ったままブドウをゆっくり成熟させます。
さらに、冬は暖かく夏は穏やかな海洋性気候が加わることで、ブドウが安定して育つ上に「ミネラル感」もプラス!
土壌は、「片岩質(へんがんしつ)」「片麻岩質(へんまがんしつ)」「花崗岩(かこうがん)」「沖積土(ちゅうせきど)」などが混ざった水捌けの良いもの。
年間降雨量が約800mmの雨が多いペイ・ナンテ地区でもブドウが根腐れせず、「ミネラル」が凝縮されます!
「爽快な酸」と「ミネラル感」たっぷりのミュスカデは、海の幸を使った料理と相性が良いですよ。
フランスの伝統的な醸造技術「シュール・リー」が有名
先ほども少し触れた通り、ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)は一般的に「シュール・リー製法」を用いて醸造されます。
シュール・リー とは、フランス語で「澱(おり)の上」という意味。
シュール・リー製法をするのは、澱由来の「旨味」「コク」「複雑味」を加えることで深みのあるワインを造るためです。
シュール・リー製法は、ワインの発酵後にタンクの底に溜まった澱(おり)を取り除く作業をせず、澱を残したまま数ヶ月間一緒に熟成させる方法。
発酵を終えた澱が自己分解してアミノ酸などに変わり、ワインに「旨味」として溶け込んで、ワインにコクや複雑味を生み出します。
ブドウ本来の個性が控えめで酸味が強く、普通の醸造方法では「水っぽい淡白な印象のワイン」になってしまいがちなミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)。
シュール・リー製法をすることで、フレッシュさがありつつも、深みと厚みのある味わいのワインに仕上げることができるのです。
シュール・リー製法は、ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)に欠かせない存在と言えますね!
長期熟成のミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)は「ドライフルーツ」「蜂蜜」などの熟成香がする
ワインの熟成をいえば、「赤ワイン」のイメージが強い方も多いのではないでしょうか?
ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)は、ブドウのフレッシュさを楽しむために「若飲み(早飲み)」されることが多い品種。
しかし、品種特有の「高い酸」と 伝統的な「シュール・リー製法」の掛け合わせによって、リッチな熟成ミュスカデを造ることもできます!
熟成ミュスカデは「第3アロマ(熟成香)」によって香りに濃厚さや深みが増し、とろっとしたコクのあるワインになりますよ。
若いミュスカデは、「レモン」や「青リンゴ」のようなフレッシュな香り。
長期熟成することで、「蜂蜜」「ドライフルーツ」「ナッツ」などを思わせる官能的な香りに変化していきます。
水のようにサラサラしていたワインがとろみのある質感に変わり、コク深い味わいを楽しめますよ。
安価なものが多いミュスカデですが、10年経った「熟成ミュスカデ」は、最高級の白ワインとも間違えるほどの変貌を遂げます!
ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)は「和食」の最高のパートナーでもある
ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)から造る辛口白ワインは、様々な食事と相性の良い万能な白ワイン。
実は、「和食」とも最高に相性が良いんです!!
それは、ミュスカデが「澱(おり)由来の旨味」「素材の味を邪魔しない控えめな香り」「ミネラル感と塩味」「高い酸」を持ち合わせているから。
ミュスカデならではの醸造方法「シュール・リー製法」による澱由来の旨味が、和食の「出汁」の旨味と共鳴!
ワインの中に感じるミネラル感や塩味も、「醤油」「味噌」「塩」など和の調味料と相性抜群です。
香りが控えめなので和食の素材を活かした繊細な味つけを掻き消さず、さっぱりした酸味で揚げ物を食べた後の口の中をリセットしてくれますよ。
和食の繊細な美味しさに寄り添えるミュスカデは、まさに最高のパートナー。
1,000円〜2,000円で買えるミュスカデもたくさんあるので、食卓にも取り入れやすいですよ♪
まとめ
今回は、「白ワインのブドウ品種『ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)』の特徴は?和食との相性も」をご紹介しました。
いかがでしたか?
今回の内容をまとめると、
- 名前が似ている「ミュスカデル」「ミュスカ」とは、産地・香り・味わいなどが全く異なる
- ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)がフランス・ロワール地方で90%栽培されるようになったのは、1709年にフランスを襲った大寒波がきっかけ
- 品種の特徴は、「すっきりしたスタイルの極辛口ワインが人気」「シュール・リー製法で造られる」「コスパの良い品種」
- 栽培に適しているのは「冷涼な海洋性気候」と「水捌けの良い土壌」の地域で、フランス・ロワール地方の「ペイ・ナンテ地区」が最適
- 「シュール・リー製法」はワインを澱と一緒に熟成させて「旨味」「コク」「複雑味」を出す醸造方法で、淡白な印象のミュスカデを深みと厚みのある味わいに仕上げられる
- ミュスカデを長期熟成すると「ドライフルーツ」「蜂蜜」などの熟成香がして、とろみのあるワインになる
- ミュスカデの「澱(おり)由来の旨味」「控えめな香り」「ミネラル感と塩味」「高い酸」が、繊細な味わいの和食と相性抜群
このような感じでした。
和食とも相性抜群の、日本人にぴったりのワイン!
日本での流通量が多く手軽な価格帯なので、ぜひ一度試してみてくださいね。