ギリシャ発祥の白ブドウ品種、ミュスカ。
ミュスカとはフランス語で「マスカット」のこと!
ケーキ屋さんで、マスカットを使ったケーキを「ミュスカ」と表記しているのを見たことがある方もいるかもしれません。
ミュスカ(マスカット)系の品種は200種類以上もあり、「北海道」や「山梨県」など日本でも栽培している地域がありますよ。
今回は、「白ワインのブドウ品種『ミュスカ』の特徴とは?ノンアルコールワインに使われる理由なども」をご紹介。
近年需要が高まっている「ノンアルコールワイン」の原料としてミュスカが選ばれる理由なども詳しく解説しています!
皆さんがミュスカの魅力を知る第一歩になれば嬉しいです。
Contents
「ミュスカ」と「マスカット」は同じ?
「ミュスカ」と「マスカット」は同じです!
正確には、ミュスカは「マスカット系のブドウ品種」を総称した呼び方。
ミュスカ(マスカット)は単一のブドウ品種でなく、200以上の品種が存在する大きな家族なのです。
ミュスカ以外にも、マスカットは国によって異なる名前で呼ばれます。
フランス語で「ミュスカ」、イタリア語で「モスカート」や「モスカテッロ」、スペイン語で「モスカテル」、ドイツ語で「ムスカテラー」など。
そんな大家族「ミュスカ」の中でも特に代表的な品種が、「ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン(モスカート・ビアンコ)」。
紀元前から存在するマスカット品種の元祖です。
食用にもなりますがワインに使われることがほとんどで、最高品質のワインを生み出す高貴品種の1つです。
この品種の子供が、日本で一般的にマスカットと呼ばれている「マスカット・オブ・アレキサンドリア」。
さらに、ひ孫には日本原産の黒ブドウ品種「マスカット・ベーリーA」や、食用として大人気の「シャインマスカット」がいます。
ミュスカは国によって呼び方が違い、種類も多いので混乱しがちな品種なのです。
「ミュスカデ」「ミュスカデル」と間違えやすい
ミュスカと名前が似ている白ブドウ品種「ミュスカデ」と「ミュスカデル」。
混在しやすい品種ですが、これらは全く別の品種です!
「発祥地」「香りや味わいの特徴」「相性の良い料理」の3つのポイントに絞って違いをご紹介します。
「ミュスカ」は、ギリシャ発祥の白ブドウ品種。
香り成分「テンペル」が非常に多いアロマティック品種で、「マスカット」をそのまま頬張っているかのような甘くジューシーな香りが特徴。
甘口ワインでは完熟した果実の甘さが感じられ、辛口ワインでは新鮮な果実味とすっきりした酸味が感じられます。
爽やかな味わいなので、「アスパラガス」などを使った野菜料理、カルパッチョなどの魚介料理、フルーツを使ったデザート、チーズなどと相性が良いですよ。
「ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)」は、フランス・ロワール地方発祥の白ブドウ品種。
香りの強い品種に比べると香り控えめなニュートラル品種で、「レモン」「ライム」「グレープフルーツ」など柑橘系のフルーツやハーブのような香りが特徴。
キリッとした酸味やミネラル感が感じられる爽快な味わいです。
ミュスカデのフレッシュな酸味や塩味が「貝類」を使った魚介料理と相性抜群で、ワインの繊細な風味と「和食」も最高のマリアージュを奏でますよ。
「ミュスカデル」は、フランス・ボルドー地区発祥の白ブドウ品種。
ミュスカデル単体でワインを造ることは少なく、他品種の個性を引き立てる補助品種として「ソーヴィニョン・ブラン」や「セミヨン」などとブレンドされることが多いです。
ふんわり優しい「ムスク」のような香りや 、「ジャスミン」「アカシア」といったフローラルな甘い香りが特徴。
酸味が穏やかで、やわらかな口当たりのソフトな味わいです。
色んな食事と合いますが、シーフード料理、ナッツやチーズなどと特に相性が良いですよ。
3つの品種の名前の響きは似ていますが、発祥地も香りも味わいも全然違いましたね!
飲み比べて、ぜひ「ミュスカ」ならではの魅力を探してみてください。
ミュスカの特徴
では、本題となる「ミュスカの特徴」を4つのポイントで徹底解説していきます!
1つ目は、栽培が難しいこと。
ミュスカの栽培が難しいのは、病害に弱く、天候の変化に敏感で繊細な性質をもつ品種だから。
早熟品種で収穫時期は8月末〜9月初旬と早いですが、病害への耐性が低いので「うどんこ病」「べと病」「灰色かび病」などにならないよう適切な管理が必要。
特に、「湿度」の高い地域では病気の発生リスクが高くなるので注意です!
気温や雨量など天候の変化にも敏感なので、毎年の収穫量や品質が安定しない栽培の難しい品種ですよ。
2つ目は、味わいの表現の幅広さ。
ミュスカだけで、辛口〜極甘口まで幅広い味わいの表現が可能!
ミュスカ自体は「爽やか」「フルーティー」という表現がぴったりな、マスカットをまるごとかじっているようなみずみずしい果実感。
辛口ワインの場合はすっきり爽やかで清々しい印象の味わい、甘口ワインの場合は「蜂蜜」や「干しブドウ」のような濃厚な味わいに。
ミュスカ本来の香りが強いので、甘口でも辛口でもそれぞれの良さを引き立たせることができます!
3つ目は、多様なスタイル。
ミュスカワインはスタイルが多様なので、多くの人の好みにマッチします!
例えば、「スパークリングワイン」「デザートワイン(甘口ワイン)」「酒精強化ワイン(アルコール度数の高いワイン)」「レイト・ハーベスト(遅摘みワイン)」など。
厳選された高貴品種でしか造れないフランス・アルザス地方の遅摘みワイン「ヴァンダンジュ・タルディヴ」が造れる品種でもあります。
多様なスタイルになれるのは、ミュスカ系統のブドウが200品種以上が存在しており、それぞれが違った適性や特徴を持っていることも理由にありますよ。
4つ目は、香りが非常に強いアロマティック品種であること。
ミュスカは、新鮮なマスカットそのものの甘く爽やかな香り、メロンや黄桃などの香りも楽しめる香りの強い品種。
完成から1〜2年以内に飲む「早飲みタイプのワイン」として、ブドウ本来の果実味やフレッシュな酸味を楽しむことが多いです。
甘口・辛口に問わず、ブドウ本来のフレッシュな香りがワインに直接反映される珍しい品種ですよ。
ミュスカの4つの特徴、いかがでしたか?
ミュスカは栽培が難しい品種ながら、持ち前の「汎用性が高い性質」や「フレッシュな味わい」によって高い人気を誇る品種なのです!
ミュスカの特徴からわかる「栽培に適した産地」
ミュスカの栽培に最も適しているのは「温暖」「日照量が多い」「乾燥した気候」の地域。
ミュスカの特徴といえば、ブドウをそのままかじっているような強烈で華やかな香りと果実味。
太陽の光(日照量)と熱(温暖な気候)が十分な環境では、香り成分「テルペン」を活発に生成できます。
また、ミュスカは湿気が原因で起きるカビの病気にかかりやすい繊細な品種なので、乾燥した気候の方が安全に育てられますよ。
「温暖」「日照量が多い」「乾燥した気候」という特徴を兼ね備えているのが、フランス・アルザス地方。
アルザス地方西側にはヴォージュ山脈が連なっているため、雨雲を遮断して「乾燥した気候」に。
乾燥した気候の地域では、「日照量」も多くなります。
夏は温暖で秋は冷涼な寒暖差のある気候によって、ブドウを十分熟成させながらも、酸味やミネラル感を残すことができますよ!
フランス・アルザス地方で造られた最高品質のミュスカワイン、ぜひ試してみてください。
アルコール度数の高い「酒精強化ワイン」として醸造されることも多い
「酒精強化ワイン(別名:フォーティファイドワイン)」というワインを知っていますか?
酒精強化ワインとは、ワインの発酵途中にブランデーなどの蒸留酒を加えて「アルコール度数を高めた」ワインのこと。
通常ワインのアルコール度数が10~15%なのに対して、酒精強化ワインのアルコール度数は15~22%です。
普通の品種では強いアルコールの香りにブドウの香りが負けてしまいますが、ミュスカはブドウ自体の香りがとても強いので負けずにむしろ華やかに立ち上がります。
また、ミュスカは糖度が上がりやすい品種なので、発酵を途中で止めてもブドウ由来の天然の甘みをしっかり残すことができますよ。
ミュスカの酒精強化ワインは「チョコレート」や「フルーツタルト」などとの相性も抜群なので、ぜひペアリングも楽しんでください♪
長期熟成のミュスカは「濃厚な蜂蜜の香り」「オイリーな質感」が増す
ワインの熟成をいえば、「赤ワイン」のイメージが強い方も多いのではないでしょうか?
ミュスカは、ブドウのフレッシュで華やかな香りを楽しむために「若飲み(早飲み)」されることが多い品種。
しかし、アルコール度数を高めた酒精強化ワインとして造り、そのまま長期熟成させて深いコクを楽しむ場合もあります。
長期熟成のミュスカは「第3アロマ(熟成香)」によって香りに濃厚さや深みが増し、まろやかでとろみのあるワインになりますよ!
若いミュスカは、フレッシュなマスカットそのものの香り。
長期熟成することで、「蜂蜜」や「アプリコット」「干しブドウ」などのドライフルーツ、「キャラメル」や「トースト」の香りに変化します。
非常に複雑でリッチな香りが楽しめるとともに、まろやかでオイリーな質感(とろみ感)も増しますよ。
リッチな質感は、食後のデザートのように楽しむ「食後酒」としてもぴったりです♪
ミュスカは「ノンアルコールワイン」の原料としても人気
近年、健康志向の高まりや若年層の飲酒離れに伴って「ノンアルコールワイン」の需要が高まっているのをご存知でしょうか?
ミュスカは、「ノンアルコールワイン」の原料としても人気の白ブドウ品種なんです!
ミュスカが原料として選ばれる理由は、ミュスカ特有の「華やかな香り」「甘さ」「フルーティーさ」から。
香りが非常に強い品種なので、アルコールを除去してもマスカットの強い香りは健在。
ブドウジュースとは違い、ワインに近い本格的な風味が追求されるノンアルコールワインの世界。
ミュスカのノンアルコールワインは、「アルコール入ってる?」と思ってしまうような本格的なワインの味わいと満足感を表現できるので人気なのです!
パーティーなどノンアルコールワインを飲む場面があったら、ぜひブドウ品種を確認してみてくださいね。
まとめ
今回は、「白ワインのブドウ品種『ミュスカ』の特徴とは?ノンアルコールワインに使われる理由なども」をご紹介しました。
いかがでしたか?
今回の内容をまとめると、
- ミュスカはフランス語で「マスカット」のこと
- ミュスカは「ミュスカデ」「ミュスカデル」とは全く別の白ブドウ品種
- ミュスカの特徴は4つで、「栽培が難しい」「辛口〜極甘口まで味わいを表現できる」「多様なスタイル」「香りが非常に強いアロマティック品種」
- ミュスカの栽培に適しているのは「温暖」「日照量が多い」「乾燥した気候」の地域で、フランス・アルザス地方が最適。
- ミュスカは香りが強い品種なので、アルコール度数の高い「酒精強化ワイン」としても醸造される
- ミュスカを長期熟成すると「濃厚な蜂蜜の香り」や「オイリーな質感」が増す
- ミュスカの「華やかな香り」「甘さ」「フルーティーさ」によって、本格的な味わいのノンアルコールワインを造ることができる
このような感じでした。
ミュスカとは、「マスカット」と同じ品種のことだったんですね。
「ブドウそのまま食べてるみたい」と表現されるほどフルーティーなミュスカのワインを、ぜひお試しあれ!