フランス・ブルゴーニュ地方発祥の白ブドウ品種「ピノ・グリ」
赤ワイン用の名門品種であるピノ・ノワールの突然変異で生まれた品種で、名前の通り「グリ=灰色」の皮の白ブドウです。
日本人の味覚にも合う上品な白ワインが造れる品種で、2017年には国際線ファーストクラスで提供するワインに採用されていますよ!
今回は、「白ワインのブドウ品種『ピノ・グリ』の特徴は?オレンジワインの一種『ラマート』なども解説」をご紹介。
ピノ・グリの灰色の果皮を活かして造られるオレンジワインの一種「ラマート」についても解説しています。
皆さんがピノ・グリの魅力を知る第一歩になれば嬉しいです。
Contents
ピノ・グリは黒ブドウ「ピノ・ノワール」の突然変異種!
白ブドウ「ピノ・グリ」は、黒ブドウ「ピノ・ノワール」の突然変異種であるのをご存知でしょうか?
色合い以外DNAは全く同じであることが分かっているため、「ピノ・グリはピノ・ノワールの『クローン』」とも言えます。
ピノ・グリが生まれたのは、フランスのブルゴーニュ地方。
1930年代、ブルゴーニュ地方の黒ブドウ畑でピノ・ノワールの成る枝の先が全て白ブドウになっているのを発見!
初めは一つの枝だけだった白ブドウが、やがて樹全体に実るようになり、後にピノ・グリと命名されました。
実は、ピノ・ファミリーは遺伝的な不安定さによって突然変異しやすい特性。
世界中にクローンが存在すると言われており、有名な品種だと
- ピノ・ノワール:黒いピノ
- ピノ・グリ:灰色のピノ
- ピノ・ブラン:白いピノ
- ピノ・ムニエ:「粉屋」のピノ(葉の裏の産毛が粉をまぶしたように見えるから)
など、なんと世界中で数百種類以上と言われています。
同じDNAを持つピノ・ファミリーですが、皮の色の違いによって風味なども変わるのが面白いです!
ピノ・グリの特徴
では、本題となるピノ・グリの特徴を3つの観点からご紹介します!
1つ目は、寒い地域を好む品種であること。
ピノ・グリは早熟で糖度が上がりやすく酸味が失われやすい品種のため、冷涼な地域での栽培を好みます。
温暖な地域での栽培はブドウの糖度が上がりやすく急速に酸が失われてしまうため、アルコール度数は高いのに締まりのないだらしない味のワインに。
冷涼な地域ではゆっくり成熟が進むので、糖度を上げながらも必要な酸味を維持できます!
早熟な品種なので、冬の訪れが早い冷涼な地域でもしっかり成熟した状態のブドウを収穫することができますよ。
2つ目は、病気に弱い品種であること。
ピノ・グリの樹勢(樹の生命力)は比較的強いものの、収穫量はあまり多くありません。
その理由は「灰色かび病(ボトリティス)」「ベト病」「うどんこ病」といった病気にかかりやすい品種だから。
実が密集していて湿気が篭りやすいので、摘房(てきぼう)などで日当たりと風通しを良くしたりと工夫が必要です。
ただし、カビが生えやすい性質を逆手に取り「貴腐ワイン(貴腐菌のついたブドウから造る高級甘口ワイン)」が醸造されたりもしますよ。
3つ目は、豊かな香りと味わい。
ピノ・グリはブドウ本来の香りが強いアロマティック品種であり、「ピーチ」「マンゴー」「アプリコット」などの果実香と「レモングラス」のようなハーブ香が特徴的です。
「蜂蜜」の甘い香りのニュアンスが感じられることもあります。
品種自体の酸味は控えめで、オイリーなしっとりした口当たり。
辛口・甘口どちらのワインにも使われますが、共通して芳醇な香りとボリューミーな味わいで満足感の高いワインと評価されることも多いです。
同じ品種ながら産地によってワインのスタイルが全く異なり、フランスの辛口ワインはフルーティーで余韻が長く、イタリアの辛口ワインは柑橘系のフレッシュな酸味とキレのある味わいです。
ピノ・グリは栽培が難しい品種ながら、その香り高さや味わいによって人気の高い品種なのです。
「ピノ・グリ」と「ピノ・グリージョ」は同じ品種
異なる品種だと思われることも多い「ピノ・グリ」と「ピノ・グリージョ」ですが、実は同じ品種!
正式な品種名は「ピノ・グリ」で、イタリアでの呼び方が「ピノ・グリージョ」になります。
なぜ違う品種だと思われるのかというと、造られるワインのスタイルが全然違うからです!
フランスで育った「ピノ・グリ」は、ストーンフルーツ(中心に1つ大きな種がある果物)のような果実香やハーブ香、蜂蜜の甘い香りが混ざったアロマティックな香り。
冷涼な地域なので、しっかり熟した状態で収穫されます。
酸味が低い代わりにコクのある味わいで、「ワックス」や「オイル」をイメージさせる舌全体を包み込むようなしっとりした口当たりです。
イタリアで育った「ピノ・グリージョ」は「リンゴ」や 「柑橘系フルーツ」を思わせる控えめな香り。
フランスに比べて温暖な地域のイタリアでは、ブドウの糖度が上がって酸味が失われすぎるのを避けるために早期収穫(早摘み)されます。
早摘みによるフレッシュな酸味と水っぽさがあり、強い香りやオイリーな質感は感じられません。
ピノ・グリージョは風味豊かな高級ワインとはなりませんが、香り控えめな分食事との相性が良く、低価格で楽しめるので「食中酒」として重宝されていますよ。
ピノ・グリスタイルは「完熟したアロマティックな香り」と「コクによるオイリーな口当たり」が楽しめる、特別な1杯におすすめのワイン。
ピノ・グリージョスタイルは「早摘みによる控えめな香り」と「酸味によるフレッシュな口当たり」が楽しめる、食中酒におすすめのワイン。
同じ品種にも関わらず全く異なったスタイルが楽しめる両者!
魅力的ですよね!
ピノ・グリの特徴から分かる「栽培に適した産地」
ピノ・グリの栽培に適している地域は「冷涼である」「日照時間が長い」「乾燥した気候」といった3つの条件が揃っています。
わがまま気質のピノ・グリ(糖度が上がりやすい・酸味が抜けやすい・湿気が篭りやすい)は、この環境があると美味しく栽培できるのです。
適した栽培地は求めるワインのスタイルや味わいによっても変わりますが、最も適した栽培地として名を挙げたいのが「フランス・アルザス地方」。
湿った空気がヴォージュ山脈にぶつかり乾燥した空気に変わるため、ブドウがカビてしまう心配がなく、その他の病気にかかりづらいです。
日照時間が長く冷涼な気候のおかげでブドウがゆっくり成熟でき、限界まで完熟させられる、まさに最高の栽培産地なのです!
この環境だからこそ「糖度」と「酸度」が絶妙のバランスになったピノ・グリが収穫できるのです!
アルザス地方で造られる最高品質のピノ・グリワイン、ぜひ飲んでみてくださいね。
「マロラクティック発酵」や「シュール・リー製法」がコクを引き出す
ピノ・グリは、さっぱり淡白な白ワインよりも、骨格のしっかりしたボディ(コクや飲み応え)のある白ワインを造るポテンシャルの高い品種。
「マロラクティック発酵」や「シュール・リー製法」といったピノ・グリのコクを引き出す醸造方法と相性が良いんです!
「マロラクティック発酵」とはワインに含まれるリンゴ酸を、乳酸と炭酸ガスに変えることでバターのようにまろやかなコクを加える工程。
ブドウの糖分をアルコールに変えるアルコール発酵(一次発酵)後の二次発酵にあたり、ワインにフレッシュな酸味を残すために行わない場合も多々あります。
ピノ・グリは元々酸が低い品種。
マロラクティック発酵をすることで、ピノ・グリの豊かな果実味やリッチな口当たりをより強調することができます!
「シュール・リー製法」とは、フランス語で「澱(おり)の上」を意味する伝統的な醸造技術。
発酵後に澱(おり)を取り除く工程をあえて行わず一緒に熟成させることで、澱由来の旨味・コク・複雑な香りをワインに与えることができます。
ピノ・グリ特有の豊かな果実味と「シュール・リー製法」による酵母の旨味やコクが合わさることで、より濃厚でリッチな口当たりのワインに仕上げることができます。
「マロラクティック発酵」や「シュール・リー製法」によってコクを最大限引き出したピノ・グリワインは「バター」や「クリームソース」を使った料理とのペアリングが最高ですよ♪
長期熟成のピノ・グリは「蜂蜜」や「生姜(ジンジャー)」の熟成香
ワインの熟成をいえば、「赤ワイン」のイメージが強い方も多いのではないでしょうか?
ピノ・グリは、白ブドウながら糖度の高さとエキスの多さによって10年〜20年以上の長期熟成ができる品種です。
熟成によって現れる「第3アロマ(熟成香)」によって香りや質感に深みが増し、ゆっくりと味わいたくなる官能的な魅力が出てきますよ。
若いピノ・グリは「ピーチ」「マンゴー」「アプリコット」のようなフレッシュな果実香が特徴的ですが、熟成することで「蜂蜜」「ドライフルーツ」「生姜(ジンジャー)」のような香りが現れます。
甘美な香りやスパイシーな香りが混ざり合い、驚くほど多層的な香り「ブーケ」を生み出します。
また、若いピノ・グリのオイリーな質感も、熟成によって酸が完全に溶けこみ「シルク」のようなまろやかさに変化。
飲んだ瞬間口に広がるエキスの凝縮感は、赤ワイン好きをも唸らせるほどですよ。
熟成したピノ・グリワインは、通常は赤ワインが合わせられるジビエ料理(野生鳥獣の肉を使った料理)などにも寄り添える重厚さです!
オレンジワインの一種「ラマート」はピノ・グリの「灰色」があってこその名品
ピノ・グリ独自のワインスタイル、「ラマート」をご存知ですか?
白ブドウを使って赤ワインと同じ醸造方法を行う「オレンジワイン」の一種。
オレンジワインでは長時間「スキンコンタクト(果皮や種子を果汁と一緒に発酵させる製法)」を行いますが、その短時間スキンコンタクトver.で造られるのが「ラマート」です。
「灰色」の果皮を持つピノ・グリの特徴を生かしたスタイルで、スキンコンタクトすることで綺麗な「銅色(ラマート)」のワインになります。
ロゼワインのようなピンクがかった色味のものもありますよ。
ピノ・グリ特有の果実味に加えて、皮由来のスパイシーさ・ナッツ感・ハーブ感・若干の渋みなどが混ざった複雑な香りや味わい。
白ワインの「爽やかさ」と赤ワインの「コク深さ」を兼ね備えたワインです。
魚介料理・豚肉料理・トマト料理など、幅広いスタイルの料理と合わせて楽しめますよ♪
ラマートは、1960年代から造られているイタリアの伝統的な製法。
非常に歴史ある製法のワインなのですが、近年のオレンジワインブームに乗じて再注目されています!
「白ワインでは物足りないけど、赤ワインだと重すぎる...」という時に、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?
まとめ
今回は、「白ワインのブドウ品種『ピノ・グリ』の特徴は?オレンジワインの一種『ラマート』なども解説」をご紹介しました。
いかがでしたか?
今回の内容をまとめると、
- ピノ・グリは黒ブドウ「ピノ・ノワール」の突然変異種で、全く同じDNAを持つクローンだが風味は違う
- ピノ・グリの特徴は、「寒い地域を好む品種」「病気に弱い品種」「豊かな香りと味わい」
- 「ピノ・グリ」と「ピノ・グリージョ」は同じ品種だが、造られるワインのスタイルが全く異なる
- ピノ・グリの栽培に適しているのは「冷涼」「日照時間が長い」「乾燥した気候」の地域で、最適なのはフランス・アルザス地方
- ピノ・グリのボディ(コクや飲み応え)をさらに引き出す「マロラクティック発酵」や「シュール・リー製法」と相性が良い
- ピノ・グリは長期熟成できる品種で、「蜂蜜」や「生姜(ジンジャー)」の熟成香がする
- ピノ・グリの「灰色」の果皮を活かして造られるオレンジワインの一種「ラマート」が、オレンジワインブームによって再注目されている
このような感じでした。
白ブドウながら、灰色の果皮を持っているピノ・グリ。
だからこそ造られる人気のワイン「ラマート」は、ワイン愛好家から熱狂的な人気があります。
皆さんもぜひ試してみてくださいね!