フランス・ボルドー地方発祥の白ブドウ品種、セミヨン。
日本の気候では栽培が難しい希少品種ですが、「知る人ぞ知る」実力派のブドウ品種としてワイン愛好家から支持されています!
今回は、「白ワインのブドウ品種『セミヨン』の特徴とは?貴腐ワインやハンター・セミヨンなども解説」をご紹介。
セミヨンで人気の醸造スタイル「貴腐ワイン」や「ハンター・セミヨン」についても解説していますよ。
皆さんがセミヨンの魅力を知る第一歩になれば嬉しいです。
Contents
「ボルドーの名脇役」と呼ばれるセミヨン
フランス・ボルドー地方発祥のセミヨンは、「ボルドーの名脇役」と呼ばれることがあります!
同じくボルドー地方で栽培される白ブドウ品種「ソーヴィニヨン・ブラン」の欠点を完璧に補える性質を持っているからです。
「華やかで鋭い酸味」がシャープな印象を与えるソーヴィニヨン・ブラン。
セミヨンのオイリーな質感が加わることで、酸を和らげて、滑らかでリッチなボディ(コクや飲みごたえ)に。
さらに、「フレッシュさ」を重視するソーヴィニヨン・ブランに「大器晩成型」のセミヨンが加わることで、ワインの寿命が格段にアップ!
熟成するほどに「蜂蜜」や「ナッツ」の香りが出て高級感あるワインになっていきます。
名脇役と言われるのも、セミヨンに主役の品種を引き立てられるポテンシャルの高さがあるからこそ。
正反対の性質同士が合わさって、ワインに完璧なバランスを生み出されるのです!
セミヨンの特徴
では、本題となる「セミヨンの特徴」を4つのポイントで徹底解説していきます!
1つ目は、非常に育てやすい品種であること。
樹勢(樹木の成長する力)が強く活力があるため、病気にかかりずらく、環境適応能力が高い品種。
砂利の土壌とも相性が良く土壌を選ばないので、
- フランス
- チリ
- オーストラリア
- スロベニア
- アメリカ
- アルゼンチン
- ブラジル
- 南アフリカ
など、まさに世界中で栽培されています。
毎年安定した収穫量が望めるのも、多くのブドウ農家から好かれる理由です。
2つ目は、甘口〜辛口まで幅広いタイプの白ワインが造れること。
高級甘口ワイン〜辛口白ワインまで変化できる、ポテンシャルの高い品種。
セミヨンの甘口ワインは「ハチミツ」や「完熟アプリコット」のような濃厚な甘みと上品な酸味、辛口ワインは「ライム」のような香りと穏やかな酸味やオイリーな質感が楽しめます。
特にセミヨンは極甘口の「貴腐ワイン」を造るのに適しており、世界三大貴腐ワインの1つ「ソーテルヌ」の原料にもなっています!
3つ目は、「ソーヴィニヨン・ブラン」とブレンドされることが多いこと。
先ほども触れた通り、セミヨンは甘口ワインでは主要品種として使われますが、辛口ワインでは「ソーヴィニヨン・ブラン」の補助品種として使われることが多いです。
セミヨンがワインに「しっかりした骨格」を作り、ソーヴィニヨン・ブランが「酸味」や「強い香り」をプラスする。
違いの長所が短所を補い合い、バランスの良い辛口ワインになるのです!
4つ目は、熟成すると化ける味わい。
若い頃は香り控えめでシンプルな味わいのセミヨンですが、熟成させると複雑で濃厚な味わいになり、劇的な変化を遂げます!
「ライム」や「レモン」のフレッシュな香りから、「蜂蜜」や「トースト」の甘く熟した香りに。
長期熟成に向いている品種で、時には50年以上熟成させて変化を楽しむこともあります。
4つの特徴、いかがでしたか?
育てやすく、味わいの表現が幅広く、単一でもブレンドでも楽しめるポテンシャルの高い品種ですよね。
白ワインの女王「シャルドネ」と比較される理由と違い
好みのワインを探す中で、しばしば比較されることがある「セミヨン」と「シャルドネ」。
それは、どちらの品種も長期熟成に適しており、リッチで飲みごたえのある白ワインになるところが似ているから。
スタイルが似ているからこそ、違いを知っておきたいですよね!
セミヨンとシャルドネには、香りやワインの質感などに違いがあります。
セミヨンは「ライチ」「レモン」「ハーブ」のような爽やかな香り。
シャルドネは「青リンゴ」「レモン」など柑橘系の香りや、「マンゴー」「パイナップル」といったトロピカルフルーツの香りなど産地によって香りが変化します。
香りの強さ自体はどちらも共通して控えめですが、香りの系統や幅広さが違います!
また、セミヨンは独特のコクが「オイリーさ」を感じさせる質感なのに対して、シャルドネはまろやかで「クリーミー」な質感のワインになりますよ。
重みや高級感のあるワインを飲みたい時にはどちらの品種もおすすめですが、香りやワインの質感には違いがあります。
スパイスの効いた料理と合わせるならオイリーな「セミヨン」のワイン。
バターやチーズを使った料理と合わせるならクリーミーな「シャルドネ」のワインなど... 食事とのペアリングで選ぶのも楽しいです♪
セミヨンの特徴からわかる「栽培に適した産地」
セミヨンの栽培に適しているのは、「適度な暖かさ」「湿気」のある地域。
この環境下でセミヨンの「高い糖度」と「豊かなボディ」という特徴が最大限引き出され、「貴腐菌」がつきやすくなります。
特に栽培に適しているのは、原産地であるフランス・ボルドー地方。
ボルドー地方のソーテルヌ地区とバルザック地区は、合流する川の水温の違いによって朝霧が発生しやすい場所。
霧によって湿度が上がり昼間は暖かく日照時間が長くなることで、十分に熟成した糖度の高いブドウになり、果実味がしっかりします。
さらに湿気+暖かさによって「貴腐菌」が繁殖しやすく、濃厚で蜂蜜のような甘口ワインに仕上がりますよ。
この場所で育まれたセミヨンが、世界三大貴腐ワイン「ソーテルヌ」の原料となるのです!
世界最高峰の甘口ワイン「貴腐ワイン」の醸造が人気
セミヨンといえば、世界最高峰の甘口ワイン「貴腐ワイン」の醸造が人気の品種。
貴腐ワインとは、貴腐菌(ボトリティス・シネレア菌)というカビに感染した極めて糖度の高い状態のブドウを原料に造られた甘口ワインのこと。
セミヨンは果皮が薄く、貴腐菌が付きやすいブドウ。
元々糖度の高いセミヨンが貴腐化してさらに甘くなり、世界最高峰の貴腐ワインを生み出します。
セミヨンの貴腐ワインは、「蜂蜜」「完熟アプリコット」「ドライフルーツ」のような濃厚で甘い香りと、とろっとした滑らかなテクスチャーが特徴。
長期熟成すると琥珀色に変化し、より香ばしい香りで深みのあるデザートワインになります。
世界最高峰の貴腐ワイン、一度飲めば虜になってしまいそうです。
長期熟成のセミヨンは「バタートースト」と「蜂蜜」のような熟成香がする
ワインの熟成をいえば、「赤ワイン」のイメージが強い方も多いのではないでしょうか?
セミヨンは、白ワインとして脅威的な50年以上もの長期熟成が可能な品種!
通常は酸が控えめなブドウですが、早摘みされたセミヨンは非常に高い「酸」を持ち、貴腐化したセミヨンは高い「糖分」と凝縮した「エキス分」を持つため、長期熟成が可能になります。
若いセミヨンは「ライチ」「レモン」の果実香や「ハーブ」のような香りが特徴で、香り自体は控えめ。
熟成すると「バタートースト」のような香ばしさや「蜂蜜」のような濃厚な香りが混ざり合います。
熟成時に出てくる香りは「第3アロマ」と呼ばれ、無個性だったセミヨンを驚くほど官能的で複雑な香りに変化させます。
辛口のワインでは「ドライフルーツ」のような濃厚な甘みを感じる味わいに、甘口ワインでは「蜂蜜」のようなとろみのある重厚な味わいになりますよ。
長期熟成のポテンシャルが高いセミヨンは、「熟してこそ真価を発揮する品種」なのです!
セミヨン100%の銘酒「ハンター・セミヨン」とは?!
「ソーヴィニヨン・ブラン」など、他の白ブドウ品種とブレンドされることが多いセミヨン。
そんな中で、セミヨン100%で造られた「ハンター・セミヨン」という銘酒が存在するんです!
「ハンター・セミヨン」が造られるのは、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州のハンター・バレー地区。
ハンター・バレー地区では夏の降水量が多いため、ブドウが病気にかからないように通常よりも遥かに早く収穫されます。
ブドウが熟しきっていないので、造られるワインは「低アルコール」で「酸味が強い」のが特徴です。
ハンター・セミヨンが凄いのは、その驚異的な熟成ポテンシャル。
なんと50〜60年熟成させた状態が1番美味しいと言われており、レモン水のようにさっぱりしたワインから、驚くほど重厚でリッチな味わいのワインに変化します。
熟成させたハンター・セミヨンはしっとりしたオイリーな香りで、「ペトロール香(石油香)」にも似たニュアンスを感じることも。
味わいは、香りのクリーミーさとは裏腹にしっかり辛口(ドライ)で後味すっきり。
樽熟成を一切していないにも関わらず、樽熟成した高級シャルドネのような香ばしさが出るのが不思議です。
ハンター・バレー地区でしか造れないユニークなスタイルで、ワイン愛好家やプロから熱狂的な支持を得る「ハンター・セミヨン」。
日本のワイン専門店やオンラインショップでも取り扱いがあるので、ぜひ飲んでみてくださいね!
まとめ
今回は、「白ワインのブドウ品種『セミヨン』の特徴とは?貴腐ワインやハンター・セミヨンなども解説」をご紹介しました。
いかがでしたか?
今回の内容をまとめると、
- セミヨンは「ミュスカデル」「ミュスカ」とは全く違う品種
- セミヨンが「ボルドーの名脇役」と言われるのは、「ソーヴィニヨン・ブラン」との完璧な補完関係にある
- セミヨンの特徴は、「非常に育てやすい品種」「甘口〜辛口まで表現できる」「『ソーヴィニヨン・ブラン』とのブレンドワインが多い」「熟成すると化ける味わい」
- セミヨンは「長期熟成に適している」「リッチで飲みごたえのある白ワイン」という共通点からしばしば「シャルドネ」と比較されるが、香りの系統や幅広さが違う
- セミヨンは「適度な暖かさ」「湿気」のある地域で栽培すると魅力が引き出され、最も適しているのはフランス「ボルドー地方」
- セミヨンは果皮が薄くて貴腐菌が付きやすいことから「貴腐ワイン」の醸造が人気
- セミヨンは長期熟成してこそ真価を発揮する品種で、「バタートースト」と「蜂蜜」のような熟成香がする
- セミヨン100%の「ハンター・セミヨン」は、オーストラリアのハンター・バレー地区でしか造れないユニークなスタイルのワイン
このような感じでした。
単一品種でも、ブレンドでも魅力的なワインが造られる「セミヨン」。
私も、特に個性的なスタイルの「貴腐ワイン」と「ハンター・ワイン」を飲んでみたくなりました!
皆さんもぜひ試してみてくださいね。