フランス・ローヌ地方コンドリュー村が原産の白ブドウ品種「ヴィオニエ」。
アロマティックな香りと低めの酸味が魅力的で、香り重視のワイン愛好家から根強い支持を得ています!
今回は、「白ワインのブドウ品種『ヴィオニエ』の特徴は?絶滅寸前から奇跡の復活を果たした歴史なども」をご紹介。
実は、一度は品種絶滅の危機まで追い込まれた過去があるヴィオニエ。
絶滅の危機からどのように奇跡の復活に至ったのか?その歴史についても詳しく解説していますよ。
皆さんがヴィオニエの魅力を知る第一歩になれば嬉しいです。
Contents
【ヴィオニエの歴史】絶滅寸前から奇跡の復活
ヴィオニエを語る上で外せないのが、品種絶滅の危機に瀕した過去。
しかし、ヴィオニエの魅力に取り憑かれた人々の努力によって奇跡の復活を遂げたのです!
ヴィオニエの原産地は、フランス・ローヌ北部のコンドリュー村。
ローヌ川渓谷沿いは急斜面なので機械が使えず手作業での栽培や収穫が非常に大変な上に、栽培が難しい品種なので収穫量は少なめ。
他の作物の栽培に切り替える農家が増えたことで、1968年にはヴィオニエの栽培面積はわずか14haまで激減しました。
まさに絶滅寸前まで追い込まれたところで、「高品質なヴィオニエ種を絶滅させるのは勿体無い!」と人々が動きだします。
フランスの美食家であるキュルノンスキーがヴィオニエを強く賞賛したことで、フランス5大白ワインの一つに「シャトー・グリエ」が仲間入り。
ブドウ農家のジョルジュ・ヴェルネは、多くの農家が栽培を諦める中でヴィオニエの高品質なワインを生み出し続けて世界的な評価を築きます。
さらに、フランスのブドウ・ワイン研究機関によってヴィオニエの適地や栽培方法が見直され、安定して高品質なブドウが生産できるようになりました。
これらの働きにより、世界が再びヴィオニエに注目するように!
コンドリュー村での栽培はもちろん、新世界となるアメリカ・カリフォルニア州やオーストラリアなどにも栽培地が広まっていきました。
ヴィオニエ奇跡の復活には、復活の立役者となった人々の努力が隠されていたのです。
なんと、2016年にはヴィオニエの栽培面積が9,000haまでに広がりました!
ヴィオニエの特徴
では、本題となるヴィオニエの特徴を3つご紹介します。
1つ目は、温暖な地域での栽培を好むアロマティック品種であること。
ヴィオニエは、「白桃」「アプリコット」「オレンジ」などの甘い果実香りや「ジャスミン」「キンモクセイ」などの花の香りがするアロマティック品種。
香りが強くて豊かな果実味の強いワインになります。
ヴィオニエの豊かな果実味を引き出すには、温暖な地域で十分に日光を浴びてブドウを完熟させることが重要です。
2つ目は、華やかな香りを楽しむ早飲み(若飲み)タイプのワインが多いこと。
ヴィオニエは香り豊かなアロマティック品種で、酸味が低い性質。
時間が経つほどブドウ本来の香りが失われてぼやけた味わいになってしまうため、収穫してから1〜2年以内に飲むのがおすすめされるのです。
ただし、高品質なヴィオニエは熟成のポテンシャルも備えています!
樽熟成やシュール・リー製法など、適切な方法で熟成させることでより複雑で魅力的な味わいのワインを造ることができますよ。
3つ目は、収穫量が少なく栽培が難しい品種であること。
厚い果皮の小さな果粒が密着した長い房がなるため湿気がたまりやすく、「うどんこ病」などカビの病気にかかりやすいです。
また、糖度が上がりやすく酸が落ちやすい性質なのでブドウが完熟したベストタイミングでの収穫を見極めるのが難しい!
適切な栽培方法と収穫時期の見極めが品質を決める、栽培者泣かせの品種なのです。
リッチな口当たりと飲みごたえが「シャルドネ」に似ている
ヴィオニエは、白ワインの女王「シャルドネ」と比較されることが多い品種。
それは、リッチな口当たりで飲みごたえのあるワインを造りやすいという共通点があるからなんです。
ヴィオニエもシャルドネも、フルボディ(重厚)でコクのある白ワインの代表格。
酸味が穏やかで、オイリーで滑らかな質感がクリーム系の料理と相性抜群です。
シャルドネワインの質感がお好きな方は、ヴィオニエワインのスタイルもお好みかもしれません!
スタイルの似ているヴィオニエとシャルドネですが、品種本来の香りの系統や強さが異なります。
ヴィオニエは香りの強いアロマティックタイプで、「ジャスミン」など花の香りやトロピカルフルーツの濃厚な香り。
シャルドネは香り控えめなニュートラルタイプで、「黄色いリンゴ」や「レモン」などのフルーティーな香りや樽熟成による「バニラ」の香りです。
華やかな香りのワインを求めるならヴィオニエ、食事に合わせて幅広くワインを選びたいならシャルドネがおすすめですよ!
ヴィオニエの特徴から分かる「栽培に適した産地」
ヴィオニエの栽培に適した産地には「温暖な気候」「日照時間の長さ」「水はけのよい乾燥した土壌」という条件が揃っています。
特筆すべき産地は、フランス北部・ローヌ地方のコンドリュー村。
「ヴィオニエの聖地」として知られています。
コンドリューのブドウ畑といえば、最大勾配30〜40度にもなる急斜面の段々畑が有名。
寒すぎず暑すぎない気候の下で南向きの急斜面によって太陽光を十分に受けることができるので、ブドウが完熟して最大限に香りが引き立ちます。
また、コンドリューの土壌「アルゼル(マグマが冷えて固まった花崗岩が風化した土壌)」は非常に水はけが良く、ブドウに適度なストレスを与えることで凝縮感がありミネラル豊かなブドウに。
ミストラルと呼ばれる強い北風が吹くことで、湿気に弱いヴィオニエの病害リスクを防いでくれます。
ヴィオニエは栽培が難しいブドウ品種ですが、コンドリューの栽培環境では「華やかな香り」と「濃厚な果実味」を最大限引き出すことができるのです!
コンドリュー産の最高品質のヴィオニエワイン、ぜひ飲んでみてくださいね。
血縁関係にある黒ブドウ・シラーと「混醸」されることがある
皆さんは、ヨーロッパの伝統的な醸造技術「混醸法(こんじょうほう)」をご存知ですか?
混醸法とは、白ブドウと黒ブドウを一緒に収穫して同じタンクで発酵させる方法。
ヴィオニエは白ワイン用のブドウ品種でありながら、なんと赤ワインに使われることもあるのです!
ヴィオニエと混醸されるのは黒ブドウ品種「シラー」。
白ブドウであるヴィオニエと黒ブドウであるシラーは、DNA鑑定によって血縁関係(親戚関係)にあることが分かっています。
シラーを主体に、ヴィオニエの混ぜられる量は全体の20%まで。
シラー特有の「黒コショウ」のようなスパイシーな香りに ヴィオニアの「白桃」や「ジャスミン」など華やかな香りが加わることで、複雑でより華やかな香りに。
さらに、タンニン(渋み)の強いシラーとタンニン(渋み)の弱いヴィオニエが混ざることで、シラーの渋みが和らいで滑らかな口当たりのワインになります。
ブドウ本来の個性が強いヴィオニエは、シラーと混醸してもしっかり個性を発揮してくれるので相性が良いのです!
長期熟成のヴィオニエは「ドライフルーツ」「蜂蜜」「ポルチーニ茸」などの芳醇な熟成香
長期熟成といえば、赤ワインを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
ヴィオニエのワインは華やかな香りが特徴なので一般的に若飲み(収穫後1年〜2年以内)がおすすめされますが、長期熟成のポテンシャルを持ったワインも存在します!
フランス北ローヌの「コンドリュー」「シャトー・グリエ」産の高品質なワインや、樽熟成やシュール・リー製法が施されているワインなら5年〜10年以上の長期熟成ができるのです。
若いヴィオニエは「白桃」「アプリコット」などの果実香と「ジャスミン」「スミレ」などのフローラルな香り。
長期熟成すると「ドライフルーツ」や「蜂蜜」などの濃厚な香りに「ポルチーニ茸」のようなニュアンスも加わります。
第3アロマ(熟成香)によって、複雑で官能的な香りに変化するのです。
さらに、若い頃のフレッシュでオイリーな質感から、熟成して非常にクリーミーでしなやかな質感になりますよ。
リッチな熟成したヴィオニエのワインは、「コンテ」や「熟成ゴーダ」などの濃厚なチーズとも相性が良くなります♪
ヴィオニエ × 癖あり料理は最高のマリアージュ!
ヴィオニエは個性派白ワインを造れる品種。
繊細な味の料理よりも、癖のある料理や香りの強い料理と相性が良いです!
例えば、スパイスやハーブを使った香りの強い料理。
タイ料理の「グリーンカレー」、ベトナム料理の「バインミー」、ハーブで香り付けした「ローストチキン」など相性抜群!
ヴィオニエの華やかな香りが料理の香りに負けず、複雑なスパイス料理の風味をさらに引き立てます。
また、「クリームパスタ」や「チキンのクリーム煮」などバターや生クリームを贅沢に使った濃厚な料理との相性も◎。
白カビの「カマンベール」や 青カビの「ゴルゴンゾーラ」など癖ありチーズとも最高のマリアージュを奏でます。
癖あり料理の最高のパートナーといえるヴィオニエ。
料理にワインを合わせるも良し、逆にワインを主役に軽いつまみを合わせて香りを堪能するのも楽しいですよ♪
まとめ
今回は、「白ワインのブドウ品種『ヴィオニエ』の特徴は?絶滅寸前から奇跡の復活を果たした歴史なども」をご紹介しました。
いかがでしたか?
今回の内容をまとめると、
- ヴィオニエは高品質な品種ながら栽培の難しさによって一時は絶滅寸前まで追い込まれたが、復活の立役者「ジョルジュ・ヴェルネ」などの努力によって奇跡の復活を果たした
- ヴィオニエの特徴は、「温暖な地域での栽培を好むアロマティック品種」「華やかな香りを楽しむ早飲み(若飲み)タイプのワインが多い」「収穫量が少なく栽培が難しい品種」
- ヴィオニエはリッチな口当たりと飲みごたえが「シャルドネ」に似ているが、香りの強さと系統が違う
- ヴィオニエの栽培に適した産地には「温暖な気候」「日照時間の長さ」「水はけのよい乾燥した土壌」という条件が揃っており、ヴィオニエの聖地と呼ばれるのはフランス北部・ローヌ地方のコンドリュー村
- ヴィオニエは、血縁関係にある黒ブドウ品種「シラー」の香りを引き立て滑らかな口当たりにするために「混醸」されることがある
- ヴィオニエは長期熟成できるワインもあり、「ドライフルーツ」「蜂蜜」「ポルチーニ茸」などの芳醇な熟成香がする
- ヴィオニエは香りの個性が強いので、繊細な味の料理よりも「癖あり料理」や「香りの強い料理」と相性が良い
このような感じでした。
一度は絶滅の危機に瀕しながらも、熱狂的な支持者達の努力によって世界的な人気品種にまで押し上げられたヴィオニエ。
人々を魅力し続けるその味わいを、ぜひ試してみてください!