アルゼンチン原産の白ブドウ品種、トロンテス。
なんだか特徴的な名前ですよね。
元々スペインに同じ名前の品種があり、名前を譲り受ける形で定着した...という説なんかもあるそうです。
今回は、「白ワインのブドウ品種『トロンテス』の特徴は?標高約1,700mで育つアルゼンチンの固有種」をご紹介。
アルゼンチンの誇る最高品種の香り・味わいなど分かりやすく解説します。
「ワインの知識って難しそう...」と思っている方も、「もっとワインに詳しくなりたい!」と思っている方にも。
皆さんがトロンテスのワインに興味を持つきっかけになれば嬉しいです。
Contents
特徴1:アルゼンチンを代表する固有品種。世界栽培量の約95%はアルゼンチン産
南米・アルゼンチンを代表する固有品種「トロンテス」ですが、日本では知らない方がほとんどではないでしょうか?
トロンテスの起源は、16世紀。
スペイン修道士が「マスカット・オブ・アレキサンドリア」や「クリオジャ・チカ」などのブドウ樹を持ち込み、自然交配によってトロンテスが誕生。
アルゼンチンの栽培環境にマッチしたことで、国内でのトロンテス栽培量は急速に拡大していきます。
2012年には国内の白ブドウ栽培量トップ2になり、2026年現在では堂々のナンバー1!
また、世界での総栽培量の約95%はアルゼンチンで栽培されている筋金入りの固有品種です。
そんなトロンテスは、アルゼンチンのデイリーワインとして欠かせない存在。
キンキンに冷やしたワインと、「エンパナーダ・サルテーニャ(スープ入り包み焼きパイ)」は至高のペアリングなんだそう...!
かしこまった席で飲むよりも、友人や家族と集まってお喋りしながら飲むカジュアルな楽しみ方が主流のようです♪
特徴2:3つの亜種。最も高品質で有名なのは「トロンテス・リオハーノ」
実はトロンテスには3つの亜種(同じ品種で性質が分かれたグループ)があり、総じて「トロンテス」という呼び方をしているんです。
高品質で香りが強い、トロンテス・リオハーノ。
やや香り控えめで上品な印象の、トロンテス・サンファニーノ。
香りが薄くてニュートラルな味わいの、トロンテス・メンドシーノ。
「トロンテスといえばこれ!」と言われ、品質が高く重要視されているのがトロンテス・リオハーノ。
同じ遺伝子を持ちながらも、なぜトロンテス・リオハーノだけが優れた性質なのでしょうか?
トロンテス・リオハーノとトロンテス・サンファニーノは親品種が全く一緒、トロンテス・メンドシーノは片親のみ共通しています。
「親が一緒なら同じ性質じゃないの?」と思うかも知れませんが、遺伝子をどれだけ濃く受け継ぐかは人間と同じように違いが出るものです。
トロンテス・リオハーノは片親「マスカット・オブ・アレキサンドリア」の血を濃く継ぎ、マスカット由来の香り成分をダイレクトに受け継ぎました。
さらに、生まれ故郷サルタ州の標高1,700mという高地ストレスにも耐えうる天然の高い酸度を持って生まれたのも、トロンテス・リオハーノだけだったのです。
こうして遺伝子ガチャに大勝利したトロンテス・リオハーノが有名になり、主に栽培されるようになっていったのです。
特徴3:片親はマスカット!まるでもぎたてブドウの味わい
ではここで、トロンテスの香りや味わいについて詳しく見ていきましょう。
トロンテス・リオハーノとトロンテス・サンファニーノは親品種が全く同じ。
エジプト原産の白ブドウ品種「マスカット・オブ・アレキサンドリア」と、アルゼンチン原産の黒ブドウ品種「クリオージャ・チカ」です。
トロンテス・メンドシーノは片親がマスカット・オブ・アレキサンドリアですが、片親は不明となっています。
マスカット系の血が濃いトロンテス・リオハーノは、マスカット・白桃・レモンピール・バラのような甘い香り。
もぎたてのブドウをそのまま香っているようなフレッシュさがあります。
爆発するように広がる香りの濃さは、飲む香水と称される「ゲヴュルツトラミネール」と同じレベル...!
強烈な甘い香りに反して、味わいはさっぱりほろ苦く、そのギャップも魅力的ですよ。
トロンテス・サンファニーノは、トロンテス・リオハーノと香りの系統は似ていますが強さは控えめ。
酸味もやや穏やかなので、スルスル喉を通るデイリーワイン向きの味わいです。
トロンテス・メンドシーノは、華やかな香りは少なく、かすかにリンゴやハーブの香りがする程度。
ワインの主役になることはほぼなく、他品種を引き立てる役割が多いです。
日本で飲むとしたら、販売されているのは基本的にトロンテス・リオハーノのワインでしょう。
トロンテスの味わいをしっかり感じることができますので、ぜひトライしてみてください!
特徴4:王道は爽やかな辛口!超希少な甘口はうっとりするほど甘い香り
トロンテスは、9割以上が辛口ワイン!
なぜならば、甘い香りとは裏腹に酸味があってドライで爽やかな味わいをしているからです。
香りと味のギャップが魅力で、スパイスの効いた料理と相性抜群です♪
ただし、ごく稀にトロンテスの甘口ワインが醸造されることもあります!
トロンテスのマスカット由来の甘い香り、高い酸度、適した栽培環境は、実は極上の甘口ワインを造れるポテンシャルを十分持っています。
ですが、繊細な性質ゆえに失敗するリスクの方が圧倒的に高いので、甘口ワインの醸造はごく稀にしか挑戦されません。
アルゼンチンのメンドーサ州やサン・ファン州で稀に造られる甘口ワインは、うっとりするほど甘美な香り。
超濃厚な桃やアプリコットの果実香、ハチミツ、オレンジフラワー、ジンジャーやシナモンのスパイス香も感じます。
しかも、トロンテス特有の酸味によって甘いのにベタつかないさっぱり感が最高。
トロンテスの甘口ワインは超希少なので、ぜひチャンスがあれば飲んでみてください!
特徴5:標高約1,700mに天空のトロンテス畑!最高品質の秘訣は「強い紫外線・寒暖差・低湿度」
トロンテスの最も有名な栽培地といえば、アルゼンチン北部のサルタ州。
トロンテスの栽培に最適な環境を有しており、最高品質のトロンテス・リオハーノが栽培されるワイン産地として世界的に評価されています。
サルタ州でトロンテスが栽培されているのは、なんと平均標高約1,700mの場所。
日本でいうと、韓国岳(からくにだけ)や安達太良山(あだたらやま)と同じくらいの高さです。
雲より上にある天空の畑に、標高約1,700mだからこその「強い紫外線」「寒暖差」「低湿度」という栽培条件が揃っています。
紫外線から種を守ろうと果皮が厚くなることで香りエキスが濃くなり、激しい寒暖差によって芳醇な香りと強い酸味がバランスよく成長。
砂漠のように湿度が低いので、ブドウの天敵であるカビ病にかかる心配がなく健康に完熟を迎えられます。
これらの要素がパーフェクトに重なることで、最高品質のトロンテスを生み出し続けているのです。
サルタ州産のトロンテスは、他産地のものとは濃厚さや香り高さの格が違います。
名門ワイナリーのボトルラベルには「HIGH ALTITUDE(高標高)」と刻まれているものが多く、「このワインには、高地でしか生まれない奇跡的な酸と香りが詰まっている」という品質証明になっているそうですよ。
まとめ
今回は「白ワインのブドウ品種『トロンテス』の特徴は?標高約1,700mで育つアルゼンチンの固有種」をご紹介しました。
いかがでしたか?
今回の内容をまとめると、
- トロンテスはアルゼンチンで最も多く栽培されている白ブドウ品種で、世界栽培量の約95%はアルゼンチン産
- トロンテスには「トロンテス・リオハーノ」「トロンテス・サンファニーノ」「トロンテス・メンドシーノ」の3つの亜種があり、最も高品質で有名なのはリオハーノ
- トロンテス・リオハーノはもぎたてブドウのようにフレッシュで甘い香りで、反して味わいはさっぱりほろ苦い
- トロンテスは9割以上が辛口ワインだが、超希少な甘口ワインはうっとりするほど甘美な香りとベタつかないさっぱりした味わいが魅力
- アルゼンチン北部・サルタ州の標高約1,700mにある天空の畑は、強い紫外線・寒暖差・低湿度によって最高品質のトロンテスを生み出す
このような感じでした。
驚くほど強く甘い香りなのに、実はさっぱり飲みやすい!
そのギャップを、実際に飲んで体験してみたくなりました。
アルゼンチンで愛されるデイリーワインも、天空の畑で栽培される最高品質ワインも、どちらも魅力的。
シーンに合わせたトロンテスのワインを飲んでみてはいかがでしょうか?