イタリア・ヴェネト州発祥の白ブドウ品種、ヴェルディッキオ。
「トレッビアーノ・ディ・ソアーヴェ」「トレッビアーノ・ヴェルデ」などの別名(シノニム)でも親しまれています。
今回は「白ワインのブドウ品種『ヴェルディッキオ』の特徴は?デイリーワインの皮を被った偉大な白」をご紹介。
ヴェルディッキオの歴史・香り・味わいなど分かりやすく解説します。
「お手頃価格で高品質な白ワインが飲みたい!」という欲張りな方必見!
皆さんがヴェルディッキオのワインに興味を持つきっかけになれば嬉しいです。
Contents
特徴1:イタリア中部・マルケ州を代表する高貴品種。ヴェルデ(緑)色の実がなる
ヴェルディッキオは、イタリア・ヴェネト州発祥と考えられる白ブドウ品種。
ヴェネト州は、水の都として世界的に人気のある観光地ヴェネツィアのことです。
ヴェネト州からイタリア中部のマルケ州に伝わり、今ではマルケ州を代表する白ブドウ品種となりました。
舌を噛みそうな名前の由来は、ヴェルデ=緑色のブドウの色合いから。
造られるワインも緑色のニュアンスが写っていますよ。
そんなヴェルディッキオは、「イタリアで最も偉大な白ブドウ」「真の高貴品種」と大絶賛されるほどの実力者。
その所以は、圧倒的なポテンシャルにあります。
10年以上の長期熟成能力、赤ワイン並みの強い骨格、栽培地の個性をワインに反映させる表現力。
そして、あらゆるワインのスタイルに変化する万能性をも備えているのです!
日本の輸入ワイン全体のシェアとしては、ヴェルディッキオは1%未満。
日本ではニッチな品種ですが、世界的には偉大な白ブドウとしてリスペクトされています。
ここから、知る人ぞ知る偉大な白ブドウ品種を詳しく知っていきましょう!
特徴2:量から質へのシフト。”ヴェルディッキオの父”ヴィッラ・ブッチ氏らの貢献
ヴェルディッキオはイタリア最高峰の白ワインを生み出す品種として有名ですが、昔は「安物ワインの代名詞」として大量消費されていたんです。
では、なぜ高品質な白ブドウにシフトチェンジできたのか?
その歴史を見ていきましょう。
イタリア北部・ヴェネト州で生まれたヴェルディッキオ。
そこから中部のマルケ州に伝わり、1300年代にはヴェルディッキオの名が初めて古文書に登場します。
さらに時が経ち、ヴェルディッキオの名が広く知れ渡ったのは1950年代。
古代の壺をモチーフにしたアンフォラ型(魚のような形)のボトルを開発したことで大ヒットし、アメリカやヨーロッパの市場を席巻しました。
大ブームに答えるために、世界中の生産者はブドウを大量収穫し、ワインを大量生産します。
その結果ワインは水っぽく薄い味わいになり、安くて特徴のない白ワインというイメージがついてしまったのです...
その後、天機が訪れたのは1980年代初頭。
ヴェルディッキオの未来を危惧した生産者達が、次々と栽培・醸造の改革に乗り出します!
品質向上とともに、特徴的なボトルの形も一般的なものに変わっていきました。
長年の努力が実を結び、今では主要地のワインがイタリアのワイン格付けで最高位のD.O.C.G.を獲得するほどに!
高貴品種として知られるヴェルディッキオにも、意外な過去が隠されていたのです。
まさに、時代の流れに沿って変化を続けてきた品種ですよね。
特徴3:神がかった長期熟成能力!高コスパで手に入る秘宝のようなワイン
最高品質のワインを生み出すヴェルディッキオですが、実は高コスパなことでも知られています!
1,000円台〜から購入ができて、価格に見合わないほどの品質を隠し持つまさに秘宝のようなワイン。
どんな香りや味わいなのでしょうか?
ヴェルディッキオのワインの特質すべき点は、その神がかった長期熟成能力。
天然の高い酸味と豊かなポリフェノールが10年以上の熟成を可能にしており、熟成度によってワインのニュアンスは驚くほど変化します!
1年〜3年の若いワインは、グレープフルーツ・レモンといった柑橘系の果実を思わせるフレッシュな味わい。
しっかりした酸味とミネラル感、みずみずしいアーモンドのようなほろ苦いニュアンスがアクセントになっています。
それが長期熟成を経ると、ハチミツ・マジパン・乾燥ナッツが混ざったような甘く濃厚で複雑な味わいに変化。
石油を思わせる独特のペトロール香も感じられます。
極上の「リースリング」や「セミヨン」に似た感覚のワインになりますよ。
なぜヴェルディッキオのワインが高品質に見合わない手軽な価格で手に入るのか?
それは昔の「安いワイン」というイメージが消えていないこと、有名産地のように土地のブランド代がワインの価格に上乗せされていないことにあります。
おかげで、私達は数千円で高級熟成白ワイン同等の化け方を堪能することが出来てしまうのです...!
比較的手を出しやすいのが嬉しい!
高コスパの域を超える素晴らしい味わいを、ぜひお試しください☆
特徴4:ヴェルディッキオと混同されやすい品種にご注意を
ヴェルディッキオには、混同されやすいブドウ品種がいます。
それが、イタリア北部・ガルダ湖周辺で栽培される高級白ブドウ品種、トゥルビアーナ(別名:トレッビアーノ・ディ・ルガーナ)。
以前までは同じ品種だと考えられていましたが、最新のDNA研究によって違う品種だと判明したのです!
そもそもなぜ同じ品種だと思われていたのか?
それは、2000年初期のDNA鑑定はまだ技術が未熟で判断が大雑把だったから。
ブドウ自体の性質や見た目も似ており、祖先を辿ればルーツが同じであることも同品種だと判断された理由なんだとか。
しかし、2010年以降の最新DNA鑑定によって違いが判明!
遺伝子コードには2%ほどの僅かな違いがあり、ブドウの見た目や性質にも違いがあることを発見しました。
そして、ワインの味わいに関しては全然違います。笑
ヴェルディッキオのワインは、グレープフルーツなどの清涼感ある香りやミネラル感が特徴。
トゥルビアーナのワインは、桃やアプリコットなどの香りや肉厚なコクが特徴ですよ。
ヴェルディッキオのワインに興味を持ってくださった方は、ぜひ近しい品種とお間違えのないように!
味わいは全然違うので、もっと興味が湧いたらぜひ飲み比べもしてみてくださいね。
特徴5:個性あるクローンの掛け合わせ&使い分けが鍵!
ヴェルディッキオには複数のクローン(同じ株を起源とするブドウ樹)が存在します。
クローン別の個性を掛け合わせたり、造りたいワインのスタイルごとに使い分けたり... とても上手に活用されているんです!
クローンの呼び方は、R2・CSV・ERPT 155・CVP 01-162などといった無機質なもの。
使い分けとしては、R2はテーブルワイン用、CSVは遅摘みの甘口ワインやスパークリングワイン用。
ERPT 155とCVP 01-162は長期熟成能力の高い高品質ワイン用など...
それぞれのワインに合った個性のクローンを使用しています!
そして驚きなのが、クローン同士の掛け合わせ。
個性を掛け合わせることで、また新しい味わいのワインを生み出すことができるのです!
例えば、VCR28 × VCR3の掛け合わせ。
VCR28はデザートワインで使われるほど甘くて華やかな香りが特徴で、VCR3は強いボディとリンゴの皮のようなほろ苦さが特徴です。
これらを掛け合わせることで生まれるのは、香りはどこまでも華やかで官能的なのに、飲んでみると驚くほどドライな味わいというギャップ!
また、「若いワインも華やかな味わいで、さらに長期熟成もできる!」というワイン自体のポテンシャルも上がるのです。
ちなみに、なぜクローンごとに個性が生まれるのかというと、小さな遺伝子のコピーミスや栽培環境によって味わいが変わるから。
長い歴史があるヴェルディッキオは、コピーミスのチャンスが多かったので個性豊かなクローン達が揃っているのです。
こうして、クローンをワイン業界での生存戦略として上手に活用しているヴェルディッキオ。
なんだか面白いですよね。
まとめ
今回は「白ワインのブドウ品種『ヴェルディッキオ』の特徴は?デイリーワインの皮を被った偉大な白」をご紹介しました。
いかがでしたか?
比較的低価格なのに、飲んでみると驚きの高品質!
白ワイン好きにとって嬉しいことしかないです。
ぜひ、日本人の知る人ぞ知る秘宝ワインをお試しあれ。