オーストリア発祥の白ブドウ品種、シルヴァーナー(シルバーナー)。
「シルヴァーナー」は主にドイツでの呼び方で、ドイツに次ぐ主要産地のフランス・アルザス地方では「シルヴァネール」として知られています。
他にも、「ヨハニスベルグ」「エステルライヒャー」「フランケンリースリング」など多くの別名(シノニム)がありますよ。
今回は、「白ワインのブドウ品種『シルヴァーナー』の特徴は?風土や熟成度によるギャップが魅力」をご紹介。
唯一無二の味わいで愛されるブドウの、香り・味わい・性質など分かりやすく解説します。
魅力たっぷりの内容に、シルヴァーナーのワインを飲んでみたくなること間違いなし!
皆さんがシルヴァーナーのワインに興味を持つきっかけになれば嬉しいです。
Contents
特徴1:発祥はオーストリア、故郷はドイツ・フランケン地方。世界各地で個性的なワインを生み出す
今ではドイツが主な栽培地のシルヴァーナーですが、実は発祥地はオーストリア。
中世にオーストリアのドナウ川流域で自然交配によって生まれ、1659年にドイツに持ち込まれてから栽培が定着しました。
ドイツ国内で最も栽培面積が多いのはラインヘッセン地方で、地域内での栽培比率が高いのはフランケン地方。
その他には、南西部のナーエ地方やファルツ地方でも栽培されています。
冷涼な気候を好み早熟な性質のシルヴァーナーは、ドイツ以外にフランス・アルザス地方、スイス・ヴァレー地方などでの栽培も。
そして、地域ごとにワインの味わいが大きく変わるのが面白いポイントなんです!
例えばドイツ・ラインヘッセン地方では、完熟した黄色いリンゴ・梨などの甘い香りに、酸味の少ない優しい味わい。
ドイツ・フランケン地方では、濡れた石のようなミネラル感・乾燥ハーブの香りに、塩気やほろ苦さを感じる硬派な味わい。
フランス・アルザス地方では、レモン・グレープフルーツの柑橘香に、新鮮な酸味とリッチなコクがある味の濃い料理に合う味わい。
スイス・ヴァレー地方では、アーモンドなどの香ばしいナッツ香に、アルコール感が強くて濃厚なチーズに合うようなリッチな味わい。
驚くほど、印象が全然違いませんか...?!
飽きることがない面白いワインですよね。
特徴2:デリケートな性質。愛される秘密は、唯一無二の味わい
先ほどの通り、冷涼な気候が大好きなシルヴァーナー。
栽培されるのは寒い地域が多いですが、その性質は非常にデリケートなんです!
小さく円筒形の房に、中くらいの緑の果粒を実らせるシルヴァーナー。
まず、冬の厳しい寒波に当たると木がダメージを受けやすく、春の遅霜が直撃すると枯死しやすいです。
また房がぎゅっと詰まっているので風通しが悪く、カビ病にとってもかかりやすいです。
土壌の水分量や栄養分にもうるさく、石灰分が多すぎると栄養が足りずに白化病になってしまうのです。
樹勢が強いため土地に合えば比較的多産なのですが、収量を増やしすぎると水っぽいブドウになるので、あえて収量を制限する必要もありますよ。
そして極めつけには、収穫してからワインを醸造する過程にもデリケートな部分が多々。
農家からすると、最高に手間暇かかる品種なのです...
なのになぜ、栽培され続けているのでしょうか?
その秘密は、シルヴァーナーだから表現できる唯一の味わい。
育てるのも造るのも大変ですが、条件が噛み合った時には、その土地で育ったシルヴァーナーだからこその個性を最大限ワインに写し出すことがで切るのです!
これこそ、シルヴァーナーが愛される理由。
なぜ唯一無二の味わいを表現できるのかについては、この後に解説しますよ。
特徴3:土地の個性をそのままワインに写す「透明な鏡」
先ほど、世界各国での個性的な味わいに変化するシルヴァーナーの魅力をご紹介しましたよね。
シルヴァーナーのワインの味わいが栽培地によって変わるのは、テロワール(土地)の個性をワインの味に写し出す能力が高いから。
その秘密は、シルヴァーナー自体の香りが薄く、エキス分を吸収する力が強いことなどにあります。
まず、シルヴァーナーは品種自体の香り成分が少ないニュートラル品種。
ブドウの香り自体が透明なキャンパスのような感じなので、土地によるニュアンスの違いを反映しやすいです。
また、現代のシルヴァーナーは徹底した収量管理のもとで栽培されているので、土壌から吸い上げたミネラルや栄養分を限界まで吸い上げて溜め込みます。
育ったシルヴァーナーはエキス分がトップクラスに高いので、造られるワインの味わいにも現れるのです!
例えば、石灰質のミネラル豊富な土壌では、ワインも硬質でほろ苦いミネラル感のある味わい。
土壌の特徴がないと、香りが薄くてさっぱりした味わいのワインが出来上がりますよ。
「透明な鏡」のような性質が、シルヴァーナーの最大の魅力なのです!
特徴4:変化する魅力!もぎたての瑞々しい味わいから、包容力ある大人な味わいに
シルヴァーナーのワインは土地によって味わいが変わるだけでなく、熟成度合いによっても違った味わいを見せてくれます。
収穫後1年〜3年の若いシルヴァーナーは、もぎたて果実のような瑞々しい味わい。
青リンゴ・洋梨・グレープフルーツのような果実香にフレッシュハーブの香り、口当たりもすっきりしていて清涼感があります。
それが、5年〜10年以上熟成させることで包容力ある大人な味わいに変化!
ハチミツ・ローストナッツ・アプリコットのような芳醇な香りに、とろっとした質感、酸味がなくなってずっしりコク深い味わいになります。
このギャップ、凄くないですか?
これこそがシルヴァーナーのワインの真骨頂です。
どの白ワイン熟成できるわけではなく、熟成ポテンシャルの高い品種は珍しいのですよ!
特徴5:料理のポテンシャルを引き出す究極の黒子。和食にも洋食にも◎
最後にシルヴァーナーのワインの楽しみ方ですが、「食中酒」にぴったり!
シルヴァーナーの控えめな香り・優しい酸味・ほろ苦さ・旨味が合わさり、究極の食中酒となるのです。
先ほど、シルヴァーナーの熟成度合いによる味わいの魅力をお伝えしましたよね。
ワインとのペアリング(相性の良い料理)も、熟成度合いによって変わるんです!
若いシルヴァーナーに合わせたいのは、「山菜の天ぷら」「白身魚の刺身」「タコのカルパッチョ」など...
フレッシュハーブの香り・酸味・ほろ苦さによって、口をさっぱりさせながらも魚介の繊細な味わいを引き立ててくれます。
熟成したシルヴァーナーに合わせたいのは、「チキンソテー」「ホタテのムニエル」「コンテ(熟成ハードチーズ)」「ラクレットチーズ」など...
香ばしい香り・オイリーな質感・コクが、濃い味わいの料理を包みこんでくれます。
和食とも洋食とも相性抜群なのが、シルヴァーナーのワインの凄いところ!
和食との新しいペアリングのワインを探していた方には、ぜひ試してみてほしい品種です☆
まとめ
今回は「白ワインのブドウ品種『シルヴァーナー』の特徴は?風土や熟成度によるギャップが魅力」をご紹介しました。
いかがでしたか?
産地による味わいの違い、熟成度合いによる味わいの違い...
とにかくギャップが凄い!
ぜひ色んな味わいを試してみてくださいね。